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12月のアウトリーチのお知らせ(12日、26日)と今後について

 住まいの貧困に取り組むネットワークの呼びかけで行なっているアウトリーチ活動(住まいを失った方々への声かけ・情報提供)では、ふだん支援団体が活動していない地域を中心にまわっています。
 原則、毎月第2・第4月曜日の夜に実施しています。

 11月は、14日(月)夜と、28日(月)夜の2回実施しました。

 11月14日(月)は、江戸川橋駅から東池袋駅まで首都高沿いを歩きました。計20人の方にアプローチできました。
 
 11月28日(月)は、赤羽橋駅を出発して、芝公園を経由し、新橋駅まで歩きました。人数は減少していて、アプローチできたのは5人だけでした。

 12月のアウトリーチ活動は下記の日程でおこないます。
 
 事前連絡は不要です。ふるってご参加ください。

【日時】

 12月12日(月)18時半集合、19時出発

 12月26日(月)18時半集合、19時出発

【集合場所】東京都新宿区新小川町7-7 NKBアゼリアビル 202号室

 地図 http://www.npomoyai.or.jp/azeriamap

 打ち合わせをおこなった後に出発します。
 歩きやすい靴でお越しください。

 行き先は当日話し合って決めます。なお、移動の交通費はすべて自己負担になります。ご了承ください。

【呼びかけ】住まいの貧困に取り組むネットワーク
連絡先: 〒162-0814 新宿区新小川町8-20 こもれび荘もやい気付
E-mail: sumainohinkon@gmail.com

※今後について

 2013年2月より、月2回、有志によるアウトリーチ(夜回り)を実施してきましたが、今年12月26日をもって、この形での夜回りは終了とさせていただきます。
 これまでのご協力に感謝いたします。

 都内の路上生活者の状況が変化してきていることも踏まえ、2017年春から新たな形でのアウトリーチを始めたいと考えています。詳細が決まりましたら、稲葉剛公式サイトなどで、呼びかけをさせていただきますので、よろしくお願いします。
 

11月のアウトリーチ活動のお知らせ(14日、28日)

住まいの貧困に取り組むネットワークの呼びかけで行なっているアウトリーチ活動(住まいを失った方々への声かけ・情報提供)では、ふだん支援団体が活動していない地域を中心にまわっています。
 原則、毎月第2・第4月曜日の夜に実施しています。

 10月は、10日(月)夜と、24日(月)夜の2回実施しました。

 10月10日(月)は、赤羽橋駅を出発し、芝公園周辺を経由して、新橋駅まで歩きました。追い出しの影響か、野宿をしている人数は減っていて、アプローチできたのは計8人でした。
 
 10月24日(月)は、まず飯田橋駅~市ヶ谷駅を歩き、その後、電車で移動して、中野駅周辺をまわりました。前半で6人、後半で10人の計16人の方にアプローチできました。

 11月のアウトリーチ活動は下記の日程でおこないます。
 
 事前連絡は不要です。ふるってご参加ください。

【日時】

 11月14日(月)18時半集合、19時出発

 11月28日(月)18時半集合、19時出発

【集合場所】 東京都新宿区新小川町7-7 NKBアゼリアビル 202号室

 地図 http://www.npomoyai.or.jp/azeriamap

 打ち合わせをおこなった後に出発します。
 歩きやすい靴でお越しください。

 行き先は当日話し合って決めます。なお、移動の交通費はすべて自己負担になります。ご了承ください。
 
【呼びかけ】住まいの貧困に取り組むネットワーク
連絡先: 〒162-0814 新宿区新小川町8-20 こもれび荘もやい気付
E-mail: sumainohinkon@gmail.com

全国追い出し屋対策会議・生活弱者の住み続ける権利対策会議の要請書


10月26日、住宅問題に取り組む法律家らでつくる「全国追い出し屋対策会議」と「生活弱者の住み続ける権利対策会議」の2団体が国土交通省に提出した要請書を以下に掲載します。

**************************

2016年10月26日

国土交通省住宅局安心居住推進課御中

要請書

全国追い出し屋対策会議 代表幹事増田尚
生活弱者の住み続ける権利対策会議 代表田中祥晃

●要請の趣旨

1 新たなセーフティネット住宅を公営住宅を補完するものとして位置付けるとしても、住宅政策において、公的な責任を明らかにして、これを果たす諸施策を盛り込んでください。

2 セーフティネット住宅にあっては家賃債務保証の利用に頼らない制度設計が必要であり、これを利用する場合であっても、家賃債務保証業に対する必要な法規制を実施することを前提としてください。

3 セーフティネット住宅において管理を事業者に委託する場合には、賃貸住宅管理業登録制度の法制化をするなどの事業の適正を確保する措置を講じることによって、賃借人の権利を保障してください。

4 家賃補助については、住宅確保の必要性に応じて、支給される制度としてください。

5 居住支援協議会等による居住支援については、地方公共団体の果たすべき役割を明確にするとともに、居住支援NPOを参加させるなど、実効性ある支援ができるよう体制を整備してください。

●要請の理由

1 当団体らについて

全国追い出し屋対策会議は、賃貸住宅管理業者などの賃貸住宅事業者による賃貸人に対する不当な家賃の取立てや、賃貸住宅の使用を阻害する「追い出し」行為について、賃借人の権利を擁護する活動に取り組んでいる団体です。

生活弱者の住み続ける権利対策会議は、昨年4月に設立され、賃貸住宅事業者による正当事由のない解約申入れ(更新拒絶)など立退をめぐる問題(「ブラック家主」問題)について、賃借人の権利を擁護する活動に取り組んでいる団体です。

2 新たな住宅セーフティネット検討小委員会の「中間とりまとめ」

国土交通大臣の諮問機関である社会資本整備審議会の住宅宅地分科会に設置された「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」では、住宅確保要配慮者の居住の安定の確保のため、空き家の活用促進や民間賃貸住宅を活用した新たな仕組みの構築を含めた住宅セーフティネットの強化について検討を進め、7月に、「中間とりまとめ」を策定し、施策の方向性を打ち出しました。

全国的には、約820万戸の空き家があり、うち429万戸が賃貸用住宅です。他方で、高齢者、子育て世帯、障害者、外国人、低額所得者等の住宅確保要配慮者に対して住宅を供給し、居住の安定を確保するために、いわゆる住宅セーフティネット法が制定され、住まいの権利を保障することが重大な政策課題となっています。こうした住宅における需給のミスマッチを解消するために、その原因を探求し、それに対応した措置を講ずることが求められています。

ここ数年においても、ネットカフェ難民、派遣切り、ゼロゼロ物件、追い出し屋、囲い屋、脱法ハウス(違法貸しルーム)、無届介護ハウスなど、住宅確保要配慮者の住まいをめぐって、様々な「貧困ビジネス」が社会問題となってきました。「住まいは商売道具」とばかりに、住居を必要とする窮状に付け込み、自らの利益を最大限に追及する事業者による被害が多発したのは、賃貸住宅をめぐる事業者について何らの法規制がなされなかったことが最大の要因です。これらの事業者に対し必要な規制を行うことにより、居住の権利を保障することが求められています。

新たなセーフティネット住宅の制度を設計する上では、何よりもまず、「住まいは人権」への政策転換を図ることが不可欠です。

3 セーフティネット住宅の位置付け

「中間とりまとめ」では、新たな住宅セーフティネット制度を「公営住宅を補完するもの」と位置付けています。

確かに、日本の賃貸住宅戸数に占める公共部門(公営住宅・公共住宅)の割合は著しく少なく、民間賃貸住宅を活用しなければ、十分な住宅の供給はできません。また、民間賃貸住宅における空き家を活用する必要性も理解できます。しかし、居住の権利の保障を民間事業者に任せてきたからこそ、住宅の確保が困難な者が生み出されてきたのではないでしょうか。

そうであれば、新たな住宅セーフティネット制度を「公営住宅を補完するもの」と位置付けるとしても、公的な責任をどう果たすのかが問われるべきです。

そこで、後述するような制度設計の具体化によって、住宅確保要配慮者に対する住宅の供給における国及び地方公共団体などの公共部門の役割を明らかにする必要があります。

また、民間賃貸住宅を活用しつつ、住宅セーフティネットにおける公営住宅の役割を減殺するべきではありません。中間とりまとめは、公営住宅のほか、借上公営住宅、地域優良賃貸住宅、住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業などの準公的賃貸住宅について、地方公共団体の財政負担や、住宅確保要配慮者の入居に対する民間事業者の不安などを指摘し、今後の供給増が見込めないとしています。

しかし、公営住宅は、住宅セーフティネットの基盤であり、これを「底抜け」にすることは、住宅セーフティネット全体を揺るがすものといわざるを得ません。公営住宅の供給増など住宅セーフティネットの重層化が求められます。

4 セーフティネット住宅における家賃債務保証の利用のあり方と家賃債務保証業者の事業の適正を確保するための施策

中間とりまとめは、セーフティネット住宅のあり方について、住宅確保要配慮者の入居を拒まないことを要件としつつ、賃貸事業者の家賃未収等の懸念に対応するため、家賃債務保証を利用することを提唱しています。

しかしながら、家賃債務保証業については、賃借人の生活の平穏や居住の権利を侵害するような苛烈な取立て・追い出し行為による被害が見られたことから、登録制を義務付け、不当な取立行為を禁止する等の法案が提出されたことからも明らかなとおり、住宅確保配慮者の居住権を脅かす被害が発生していました。被害相談件数は依然として多く、今日もなお、規制すべき必要性は変わりありません。必要最小限の法的規制もないままに、家賃債務保証業者をセーフティネット住宅に組み入れることは、かえって住宅確保要配慮者の居住の安定の確保を妨げることにもなりかねません。

そこで、セーフティネット住宅においては、家賃債務保証業者の利用は抑制的であるべきであり、後述する家賃補助や、公的保証制度の拡充などの代替手段を検討すべきです。また、少なくとも、家賃債務保証業者につき次のような規制をする業法を制定することなしに、セーフティネット住宅に家賃債務保証業者を利用すべきではありません。

① 義務的登録制
② 家賃保証委託契約の実体面での規制(不当条項の規制)
③ 不当な取立行為の禁止

人を威迫し、又は、私生活・業務の平穏を害するような家賃等の取立てを禁止し、これに違反した家賃債務保証業者に対しては、登録取消等の行政処分を行うことができるようにすることはもちろん、刑事罰を科すことも検討すべきです。

具体的には、深夜・早朝の督促禁止(福岡地裁平成21年12月3日判決・消費者法ニュース83号65頁)、勤務先等への連絡の禁止、貼り紙の禁止(大阪地裁平成22年5月28日判決・判時2089号112頁)、第三者に対する弁済要求の禁止など,貸金業法と同様の取立行為の規制を設けることや、鍵を交換するなどして賃借人の使用を阻害したり、賃借人の私物を搬出・処分する行為などを禁止すべきです。

関連して、家賃滞納情報等提供事業(家賃滞納データベース)についても、賃貸事業者の家賃の不払に対する不安を軽減するために導入されて、その結果、入居選別がなされており、住宅確保要配慮者への住宅の確保を困難にし、居住の権利を損なっている状況に鑑み、禁止等の必要な法的規制を導入すべきです。

5 セーフティネット住宅における管理を委託する場合における賃貸住宅管理業者の事業の適正を確保するための施策

中間とりまとめでは、セーフティネット住宅の「管理を事業者に委託する場合には、一定の能力等を備えた適正な事業者による管理を要件とすること」を提唱しています。

賃貸住宅管理業者については、現在、告示による登録制度が実施されていますが、任意の登録制度であり、かつ、賃借人の権利を保障するための施策は不十分です。賃貸住宅管理業者による不当な取立行為や「追い出し」行為、正当事由のない解約申入れなど、賃借人の権利を脅かす被害も少なくありません。

そこで、この際、賃貸住宅管理業者に対する業法(登録の義務付け、不当な取立行為の禁止等の業務規制)を制定することなど、必要な法規制をすることを求めます。

6 家賃補助など

中間とりまとめは、「地域の住宅政策において特に配慮が必要な住宅確保要配慮者が入居するセーフティネット住宅については、財政状況にも留意しつつ、低廉な家賃等とするための持続可能な支援を行うこと」を示しています。セーフティネット住宅において家賃補助等の措置を検討することは評価できますが、他方で、家賃補助の対象となる住宅確保要配慮者について、「特に配慮が必要な」との限定を付した上、「財政状況にも留意」することとしている点は、問題であると考えます。

住宅確保要配慮者とは、「低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者」であり(住宅セーフティネット法1条)、その定義において既に「特に配慮を要する」ことがうたわれています。これに加えて、「特に配慮が必要な」との限定を加えることは、重複するものであって無意味というべきですし、家賃補助の要件として何らかの限定を加えるものであるとすれば、住宅セーフティネットの趣旨を損なうものといわざるを得ません。

また、財政状況にも留意することを強調すれば、その分、住宅確保要配慮者の住宅ニーズが満たされないことになるのであり、本末転倒というべきです。

そこで、家賃補助の制度設計に際しては、住宅確保要配慮者の必要を十分に調査した上で、これに応じた補助がなされることを求めます。

7 居住支援協議会等による居住支援の強化

中間とりまとめが居住支援協議会による居住支援の強化を打ち出したことは歓迎しますが、具体策があまり明らかでありません。
居住支援協議会は、各都道府県には設置されたものの、市町村レベルではあまり多くなく、各市町村でも設置できるよう、国は必要な予算措置を講じるべきです。

また、先進的なとりくみに学び、居住支援協議会のメンバーに居住支援を行っている民間NPOを参加させるなど、実効性のある居住支援ができる体制を整備することが求められます。

草々



10・26院内集会「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を!」基調報告資料

10月26日(水)、住まいの貧困に取り組むネットワークなど3団体の主催で、10・26院内集会「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を!」が参議院議員会館101会議室で開催されました。

急な呼びかけにもかかわらず、約60人が参加し、民進党、日本共産党、社民党、自由党の各国会議員からのアピールもありました。
この院内集会の基調報告の資料を以下にアップしますので、ご参考にしてください。

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10・26院内集会「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を!」基調報告

坂庭国晴(国民の住まいを守る全国連絡会・代表幹事)

〔開催趣旨〕 

政府の「社会資本整備審議会・住宅宅地分科会」は今年4月に「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」を設置し、7月には「中間とりまとめ」を発表しました。

新たな住宅セーフティネット検討小委員会・中間とりまとめ(PDF)

国土交通省はこれを受け、8月末の来年度概算要求で「子育て世帯や高齢者世帯などの住宅確保要配慮者の増加に対応するため、民間賃貸住宅や空き家を活用した新たな住宅セーフティネット制度を創設し、住宅確保要配慮者向けの住宅(あんしん入居住宅〈仮称〉)の改修や入居者負担の軽減等への支援を行なう」としています。

年内に小委員会の最終とりまとめ、来年国会に向け予算案とともに関連法改正案が用意される予定です。この「新たな制度創設」などに対し、住宅困窮各層の要求に基づく、実効性のある住宅セーフティネットを求めることが重要となっています。

各党国会議員の方々と共に、「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を」議論し、実現をめざしていきたいと思います。

1.「新たな住宅セーフティネット制度」の基本的な方向性 (中間とりまとめ)

① 新たな住宅セーフティネット制度は、公営住宅を補完するものとして、公営住宅の入居対象者も含め、多様な住宅確保要配慮者を対象とすることが考えられる。

② 高齢者等の住宅確保要配慮者が円滑に入居でき、かつ、安全な民間賃貸住宅について、適切に情報提供を行うことが考えられる。

③ 子育て世帯等の住宅確保要配慮者が比較的広い住宅に居住できるようにするため、現在の住宅市場において十分活用されていない空き家・空き室を有効活用することが考えられる。

④ 地域の多様な住宅事情等を踏まえ、地方公共団体の住宅政策に応じた柔軟な施策展開が可能な制度とする。

(以上の基本的な方向性は積極的な意義を持っている)

【施策の方向性と「新たなセーフティネット住宅」】
①セーフティネット住宅の安全性の確保、②セーフティネット住宅への円滑な入居の確保、③安心してセーフティネット住宅に居住できる仕組み、④空き家・空き室の活用、⑤セーフティネット住宅の情報提供等 

2.「特に配慮が必要な住宅確保要配慮者世帯への対応」に関して

前記の「新たなセーフティネット住宅」の⑥は次のようになっている。

・家賃の負担が困難な世帯のため、比較的低い家賃での提供が期待できる空き家、空き室などの活用を促すとともに、改修等の支援を受ける場合には、不当に高い家賃とならないよう留意すること。

・地域の住宅政策において特に配慮が必要な住宅確保要配慮者が入居するセーフティネット住宅については、財政状況にも配慮しつつ、低廉な家賃等とするための持続可能な支援を行なうことや、入居者の選定等に公的な機関が関与すること。

○特に配慮が必要な、○比較的低い家賃での提供が期待できる、○不当に高い家賃とならないよう←案の段階では「改修等の支援を受ける要件として家賃の上限を設定すること」○財政状況にも配慮、持続可能な支援、○入居者の選定に公的な機関が関与

3.「新たなセーフティネット住宅」の要件、方向性

1.入居対象:国が基本的な入居対象世帯を定める(法定化)(※1)
2.住宅の基準:少なくとも耐震性等最低限の居住(※2)
3.住宅の登録:都道府県又は市町村に登録する仕組み。(※3)
4.空き家、空き室の種類:比較的低い家賃で提供できる空き家・空き室(※4)
5.改修工事等への補助:耐震性等を向上するための改修工事を支援する(※5)
6.居住支援を行う団体:居住支援居議会や社会福祉協議会、NPO等(※6)
7.家賃債務保証:一定の能力を備えた事業者、支援協議会関与(※7)
8.住宅扶助の代理納付:生活保護受給者の場合、代理納付の活用を促進
(出所:小委員会の「中間とりまとめ」と国交省からの聞き取りによる)

(※1) 地方公共団体が地域の実情に応じて入居対象者を変更できるようにする。国の法定化は「住宅セーフティネット法」の改定などが検討されている。また、「入居者の選定等に公的な機関が関与すること」とし、地方公共団体の関与(実質は居住支援協議会など)が盛り込まれている。

(※2) 「最低限の居住環境」とは、耐震性の他に「最低居住面積水準」と水回りなどの「設備面」が考えられている。

(※3) 登録等の事務は、事務負担の軽減から、地方公共団体が「指定する法人が実施することも可能」とし、指定する法人とは、地方住宅供給公社や「建築センター」などが検討されている。

(※4) 前提は民間賃貸住宅の空き家の活用であるが、「現在の住宅市場において十分活用されていない空き家・空き室も有効活用」とし、比較的広い戸建持ち家なども考えられている。

(※5) 「そのままでは住宅市場に提供できないような空き家・空き室については、耐震性やバリアフリー等を向上するための改修工事について、経済合理性を考慮しつつ、支援を行うこと」、「改修等の支援を受ける場合には、不当に高い家賃とならないよう留意すること」としている。

(※6) 「居住支援協議会が、見守り等の居住支援サービスの紹介や具体的な支援につなげていく仕組みとする」、また「都道府県や市町村が居住支援を行う団体を指定することにより」とし、この指定団体は各地の社会福祉協議会や居住支援のNPOなどが考えられている。

(※7) 「家賃債務保証について、一定の能力等を備えた適正な事業者が提供するものの活用」、「居住支援協議会の関与等によりできるだけ家賃債務保証を利用できるようにすること」としている。

4.「実効性のある住宅セーフティネット制度」とするための課題と留意点

(1)「公営住宅の入居対象世帯も含め、多様な住宅確保要配慮者を対象とする」制度とする一方で、「特に配慮が必要な・・・世帯への対応」としている問題がある。基本的な方向性で示している「公営住宅を補完する」制度としていくことが求められる。

(2)上記に関係し、「高齢者世帯や子育て世帯のみならず、障害者、外国人、低所得の若者単身世帯を含む低額所得者等の住宅確保要配慮者についても、民間賃貸住宅に入居しようとする場合には、入居拒否や家賃負担等の問題が存在する」としているが、「低所得の若者単身世帯」(中間とりまとめ案から加筆された)に対する具体的施策が必要である。

(3)前項での「家賃負担等の問題が存在する」に関して、「低廉な家賃等とするための持続可能な支援を行なうこと」などが示されている。概算要求では「国・地方公共団体による家賃低廉化補助」(国費は公的賃貸住宅家賃対策補助)が掲げられている。「新たな住宅セーフティネット制度創設」の主要な柱として、「家賃補助制度」を実現していく必要がある。

(4)「空き家・空き室の活用」では、「地方公共団体の要請等により、空き家・空き室をセーフティネット住宅として積極的に活用できるようにする仕組みとする」としている。要請を受ける家主・賃貸住宅経営者などの民間事業者の対応や体制の問題、要請する地方公共団体の対応や体制の整備も大きな課題となっている。これらの課題の解決が求められる。

(5)「居住支援の強化」では、「居住支援協議会が国や地方公共団体と協力し、セーフティネット住宅や家賃保証に係る情報提供を行う・・・」などが提起されている。実際にこの事業や支援を担う「市町村単位の居住支援協議会」は少数(14区市町)にとどまっている。居住支援協議会の設立や実行のためには、地域で居住支援を行なうNPOや借地借家人組合等の参加と活動が必要である。また、「家賃債務保証について、・・・適正な事業者が提供するものの活用」としているが、地方公共団体、居住支援協議会が担うようにすべきである。

以上

第3回国連人間居住会議(ハビタットⅢ)の開催にあたって~日本政府報告書の問題点と私たちの見解

 第3回国連人間居住会議(ハビタットⅢ)の開催にあたって
      日本政府報告書の問題点と私たちの見解


 2016年10月15日

 日本住宅会議理事長 塩崎賢明
 国民の住まいを守る全国連絡会代表幹事 坂庭国晴
 住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人 稲葉 剛

                               

はじめに―ハビタットⅢ、南米エクアドルで開催

2016年10月17日~20日、南米エクアドルの首都キトで第3回国連人間居住会議(略称・ハビタットⅢ、人間居住に関わる課題解決のために開催される正式な国連会議)が開催される。

1996年トルコのイスタンブールで開催されたハビタットⅡから20年ぶりの開催で、テーマはhousing and sustainable urban development(住宅と持続可能な都市整備)で、前回Ⅱのテーマを引き継いでいる。その開催主旨は、「前回会議からの20年間進められてきた各国の取組実績をもとに、急速に進展する都市化を成長に結びつけることにより、幅広い人間居住に係る課題の解決に向けた国際的な取り組み方針『ニュー・アーバン・アジェンダ』をとりまとめる」こととなっている。

私たちは、日本における様々な住宅問題に携わっている団体として、「幅広い人間居住に係る課題の解決」は極めて重要であり、そのための議論が深められることを期待している。そして、「国際的な取り組み方針」がこうした議論を経て採択され、ハビタットⅢが成果をあげることを願っている。

日本政府報告書と居住貧困の現実

ハビタットⅢの開催に向けて、日本政府は2015年12月に「ナショナル・レポート」を提出している。これは「我が国のこれまでの経験と次世代に向けた課題について、有識者の意見等を踏まえ、我が国の人間居住に関する国別報告書をとりまとめた」ものとされている。

しかし、この報告書は、ハビタットⅢにおいて今後の国際的な取り組み方針に反映されるべき日本の公式文書としては、きわめて重大な問題を含んでいる。

・前回ハビタットⅡの宣言

そもそも前回のハビタットⅡのアジェンダ(行動綱領)では、「すべての人のための適切な住宅」が主要な柱として、次のように盛り込まれた。「われわれは、諸国際文書が定めた適切な住宅に対する権利の完全で漸進的な実現に向けての誓約を再確認するものである。この脈絡において、人びとが住まいを確保でき住宅と近隣を保護し改良できるようにする、政府のもつ義務を確認する」とし、「われわれは人権の基準と完全に合致する態度をとり、この目的を実施、促進しなければならない」と明確に宣言したのである。
したがって、当然日本はこの20年間における「住まいの確保、住宅と近隣の保護・改良」のための取り組みとその結果を報告すべきであるが、報告書はそうした内容にほとんど触れていない

・日本政府報告書での「住宅について」

報告書は、6つの章から成り立っているが、住宅については、最後の章で以下のようにごくわずか述べているだけである。

住宅については、2003年には、世帯数(4,700万世帯)を住宅戸数(約5,400万戸)が上回る状況となった。本格的な少子高齢社会、人口・世帯減少社会の到来等を契機に、2006年に「住生活基本法」を制定し、「住宅の量の確保」から「住宅の質の向上」へと政策を転換した。今日では、「サービス付き高齢者向け住宅」などによる高齢者が安心して暮らせる住まいと生活に係る福祉サービス等の一体的供給や住宅の省エネ性能の向上、低炭素社会の実現に向けた取組等が課題になっている。(日本語版概要)
 
・住宅貧困の記述なし―政府報告書

まず、ここで「2003年には世帯数を住宅戸数が上回る状況となった」としているが、わが国で、住宅戸数が世帯数を上回ったのは1968年であり、それ以来一貫して住宅戸数は世帯数より多いのである。2003年をことさら強調することには意味がない。

より重大な問題は、住宅戸数が世帯数よりはるかに多く、膨大な空き家が発生しているにも関わらず、ホームレス、ネットカフェ難民、脱法ハウスなど住まいに困窮する人々が大量に存在している現状に全く触れていない点である。現在大きな問題となっている空き家問題についても触れていない。また、住生活基本法の制定について述べているものの、住まいに困窮する人々(住宅確保要配慮者)に対する住宅セーフティネットについては、民間賃貸住宅を活用するために居住支援協議会を作るとしているだけで、現実に低所得者、被災者、高齢者、子育て世帯などの住宅貧困を解決する課題については記述がない。逆に、「地域優良賃貸住宅が効果的に使われている」、「公共住宅がUR(都市再生機構)などによって建設されている」(英文報告書)と述べられているが、実際には公共住宅の新規建設は事実上ストップしており、現実とかけ離れている。

・わが国の公営住宅の現状と居住権の侵害

今年7月、政府審議会の「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」は、高齢者等の住宅確保要配慮者にとって住宅セーフティネットである公営住宅の応募倍率が東京都22.8倍、全国5.8倍(2014年)となっていることをふまえ、「応募倍率は大都市圏を中心に高い状況にあり、希望しても入居できない世帯が多く存在する状況にある」としている。「希望しても入居できない世帯が多く存在する状況」を認めているのであるが、この状況は20年間何ら改善されていない。

それどころか、2009年度から実施された入居収入基準の大幅引き下げ(月収20万円以下から月収15万8千円以下に変更)によって、公営住宅を「希望することさえできない状況」が作り出されている。

事実、2006年度の全国の公営住宅応募者は931,771世帯(応募倍率9.6倍)であったが、2013年度には同642,614世帯(6.6倍)となり、29万世帯も減少している。つまり制度改悪によって応募者が締め出されたのであって、住宅セーフティネットの状況はむしろ悪化しているのである。

東京都内では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴う新国立競技場の建設や関連工事により、国立競技場近隣に300戸ある東京都の公営住宅・霞ヶ丘アパートの住民の追い出しが行われ、また、明治公園など各地の野宿者が立ち退きにさらされている。政府報告書は日本国内で居住の権利が侵害されている現実に向き合うべきであるが、その記述も見られない。

大震災・原発事故被災者の住まいの問題

報告書の第3章「地球温暖化対策と災害に強い地域づくりに向けて」では東日本大震災について次のように述べている。

2011年3月、東日本大震災により18,000人以上の死者・行方不明者が発生し、最重要課題として復興の加速化に取り組んでいる。復興に際して、『新しい東北』の創造、世界のモデルとなる『創造と可能性ある未来社会』の形成を全国に先駆けて目指す考え方も示された。2014年6月、『国土強靭化基本計画』が策定され、これに基づき、政府一丸となって強靭な国づくりを計画的に進めていく。また、わが国は、2015年3月に第3回国連防災世界会議をホストし(於仙台市)、我が国の知見を広く国際社会に発信共有し、防災の主流化を提案する。(日本語版概要)

・住宅難民の状態が続く―政府の理不尽な対応

驚くことに、ここには「被災者」やその住まいについての記述が全く登場しない。東日本大震災から5年半を経過するが、今なお14万人の人々が避難し、終の棲家に到達できず、先行きの見えない状況が続いている。また、兵庫県・神戸市・西宮市では、21年前の阪神・淡路大震災で借上げ公営住宅に入居した被災者が行政によって強制退去させられようとしている。東日本大震災や熊本地震等、近年頻発している災害の被災者の住宅再建は立ち遅れており、3000人以上の関連死を生み出した避難所や仮設住宅の非人間的な居住環境は一刻も早く改善されなければならない。

東京電力福島第一原発事故による被災者は全国に散らばり、先行きの見えない状態が長く続いている。加えて自主避難者を対象に、福島県が実施している住宅の無償提供が2017年3月末に打ち切られるという問題も発生している。

日本政府の報告書は、このような被災者の置かれている現状に触れないまま、復興庁の設置、復興予算25兆円の投入、復興の加速化、「新しい東北」の取り組みなどの記述に終始している。政府が取るべき姿勢は、現在進行中の被災者の深刻な居住問題に正面から向きあうことである。

 「住生活基本法」とあるべき住宅政策

2006年の「住生活基本法」の制定と「政策転換」はどのようなものであったか。当時の政府は、「住宅及び住宅資金の直接供給のための政策手法について、抜本的な改革が行われてきたところであり、その総仕上げとして、今般、住生活基本法の制定により、住宅セーフティネットの確保を図りつつ、健全な住宅市場を整備するとともに、国民の住生活の質の向上を図る政策への本格的な転換を図る道筋が示された」と説明した。

しかし、「政策手法の抜本的な改革」のもとで、実際には、①ハビタットⅡが開催された1996年から、住宅セーフティネットの主柱である公営住宅制度の「抜本的改悪」が進められ、今日では新規建設供給の廃止に至っている。②住宅公団は、2004年に独立行政法人「都市再生機構」(UR)に改組され、賃貸住宅の直接供給が廃止された。③住宅金融公庫は、2007年に独立行政法人「住宅金融支援機構」に改組され、個人向け住宅融資は原則廃止された。
このように、「政策の転換」の中身は、公的住宅制度の縮小、廃止だったのであり、「その総仕上げとして、住生活基本法の制定」が行われたのである。

 ・「住宅セーフティネット」とハビタットの理念

住生活基本法の重要な柱である「住宅セーフティネットの確保」は、実現しない事態が今日まで続いている。そのことは今年3月閣議決定された「住生活基本計画」がよく示している。そこでは、「住宅確保要配慮者の増加に対応するため、・・・住宅セーフティネット機能を強化」するとし、「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」を設置して、「新たな仕組みの構築」に乗り出さざるをえなくなった。検討小委員会では、「高齢者世帯や子育て世帯のみならず、障害者、外国人、低所得の若年単身世帯を含む低額所得者等の住宅確保要配慮者について」対応することが示されている。そして「新たな住宅セーフティネット制度は、公営住宅を補完するものとして、公営住宅の入居対象世帯も含め、多様な住宅確保要配慮者を対象とすることが考えられる」として、公的住宅制度に準ずる仕組みの構築が検討されている。これは、1年前から政府が検討しているものであるが、これらの動きについては今回の政府報告書にはまったく触れられていないのである。 

私たちは、ハビタットⅢの開催にあたって、現在検討されている「新たな住宅セーフティネット」が我が国の住宅困窮各層の実態と要求に基づき、実効性のあるものとすることを強く求めるものである。また、公営住宅制度をはじめとした公的住宅制度の再生、充実・強化を求めるものである。

さらに、私たちはこうした狭義の住宅政策のみならず、都市政策、福祉政策、災害復興等、「人間居住」に関連するあらゆる政策において、「住まいは基本的人権である」というハビタット(国連人間居住会議)の理念が貫かれることを政府に求めるものである。


                    

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