fc2ブログ

【転送・転載歓迎】住まいの貧困に取り組むネットワーク設立集会への参加・賛同の呼びかけ

3.14集会ビラ
なくそうハウジングプア! 安心できる住まいを!
住まいの貧困に取り組むネットワーク設立集会


「派遣切り」、「ネットカフェ難民」、「ホームレス」・・・いま、暮らしの基盤である仕事と住まいを脅かされる人々が増え続けています。ワーキングプア(働く貧困層)であるがゆえにハウジングプア(住まいの貧困)という問題に直面する。その背景には「官から民へ」の掛け声のもと、労働分野での規制緩和に加え、住宅の分野でも公的な住宅が縮小され、人々の居住権を侵害する悪質な民間業者が野放しにされてきたことがあります。障害や高齢、外国籍であることなどによる入居差別は跡を絶たず、少し家賃を滞納しただけで鍵を交換したり荷物を撤去したりする「追い出し屋」(「スマイルサービス」や家賃保証会社等)による被害は拡大し続けています。

こうした「住まいの貧困」に対して、昨年秋以来、住宅問題や生活困窮者の支援に取り組む諸団体・個人が集まり、準備会を重ねてきました。「派遣切り」の問題に対しても「雇用問題であると同時に住宅問題だ」という声をあげ続けています。そして、このたび「住まいの貧困に取り組むネットワーク」として正式に発足することになりました。

集会では、「住まいの貧困」の全体像に迫り、住宅のセーフティネットを作り出すために何をすべきかを話し合います。「安心できる住まい」をすべての人の手に取り戻すための第一歩が、いま始まります!

ぜひ集会へのご参加、並びにご賛同をお願いいたします。

【日時】2009年3月14日(土)午後2時~5時30分(開場1時30分)

【場所】大久保地域センター4階 多目的ホール
PC: http://www.city.shinjuku.tokyo.jp/map/ookubo_toyama.htm
mobile:http://kosmile.lar.jp/blog5/2008/12/10/ookubo_toyama_b.gif
JR山手線「新大久保」駅下車、徒歩8分
地下鉄副都心線「東新宿」駅下車、徒歩5分
都営大江戸線「東新宿」駅下車、徒歩8分

【参加費】資料代カンパ500円(払える方のみ)

【第1部】「住まいの貧困」の現場から
「住まいの貧困」に直面している当事者の声:「派遣切り」被害者、「追い出し屋」被害者、シングルマザー、障害者、外国人、野宿者等の当事者発言を予定

【第2部】「住まいの貧困」にどう立ち向かうか
パネルディスカッション:徳武聡子(全国追い出し屋対策会議、司法書士)、小玉徹(大阪市立大学教授)、稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)

全体質疑・討議

終了後、午後6時よりデモを予定しています!

【みなさまのご賛同をよろしくお願いします!!】
集会運営や今後の活動のためぜひご賛同をお願いいたします。個人1口、団体2口以上(1口:1000円)となります。
賛同費は当日の集会会場で受付か世話人へ直接お渡しください。賛同費は当日受け付けか、口座への振込にてお願いいたします(09年3月5日修正)。事前にご賛同いただければ、集会資料等へ記載させていただきますので、以下の賛同フォームでE-mail:sumainohinkon@gmail.comまでご連絡をお願いいたします。
-------------------------------------
【賛同申込】
お名前(個人・団体名):
肩書き(個人の場合):
賛同費:  口(口数をご記入ください。個人1口、団体2口以上(1口:1000円))
ご連絡先(非公開):
------------------------------------------
■ゆうちょ銀行で振り込む場合
記号:10030
番号:31838031
名義:住まいの貧困に取り組むネットワーク
■都市銀行から振り込む場合
店名:00八(読み ゼロゼロハチ)
店番:008
普通預金
口座番号:3183803
名義:住まいの貧困に取り組むネットワーク

主催:住まいの貧困に取り組むネットワーク
世話人:稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)、坂庭国晴(国民の住まいを守る全国連絡会)、藤本龍介(スマイルサービス闘争を支援する会)
連絡先:東京都新宿区新小川町8-20こもれび荘 もやい気付
E-mail:sumainohinkon@gmail.com
URL:http://housingpoor.blog53.fc2.com/
スポンサーサイト



【報道】花畑団地ツアーの報道

花畑団地ツアーおよび関連する記事です。

東京新聞12月16日朝刊です。
東京新聞12月16日

東京新聞2月12日朝刊です。
東京新聞2月12日朝刊

朝日新聞2月12日朝刊です。
朝日新聞2月12日

週刊金曜日2月27日号です。
週刊金曜日2月27日

テレビ東京ニュースファイン 2月11日放送です。
主催は正しくは「住まいの貧困に取り組む準備会」です。住まい連ではありません。

人は、ふれあって育つ? URによる集会所使用不許可に対する抗議声明

URは私たちの行動に対して、当初予定していた集会所の使用を不許可とし、以下のような文書やビラで攻撃してきました。

行動の連絡先となっていた国民の住まいを守る全国連絡会への「要請書」(09年2月9日付)です。
集会中止の「要請書」
花畑団地各戸に配布されたビラ(2月10日付)です。
UR妨害ビラ

集会所申請者への取り消し通知(2月6日付)です。
取り消し通知
これは使用承認書です。
使用承認書

ちなみに団地向けに配られた集会案内ビラです。
団地向けビラ

一連の経緯で、URによる集会所使用不許可に対し、抗議声明を出しています。


人は、ふれあって育つ?
URによる集会所使用不許可に対する抗議声明

09年2月11日
住まいの貧困に取り組む準備会 有志

私たち住まいの貧困に取り組む準備会は09年2月11日に『空いてるじゃん!住まわせてよ! 花畑団地現地ツアー』の実施を計画しました。これは、昨年からの雇用情勢の悪化を理由とした派遣社員や期間従業員の違法・無法な解雇や雇い止めによる失職と住居の喪失に対し、本来であれば使える社会資本のまっとうな活用を求める行動です。
東京都足立区にある都市再生機構(UR)(旧公団住宅)が管理・運営する花畑団地では現在1000戸以上が空室になっており、これらの空室は、十分清掃し、少しの補修さえすればすぐにでも住める部屋なのです。

今回の行動で、私たちは花畑団地内にある西集会所で集会を予定していました。これは、09年1月20日に花畑団地の居住者が申請し、利用料金を支払い、使用承認を得たものです。しかし、集会直前である2月6日になって突如URは目的外利用を理由として使用承認の取消しを申請者に対して通告してきました。
2月9日にはUR東日本住まいサポート業務部は、今回の行動の連絡先となっている国民の住まいを守る全国連絡会に「要請書」を送りつけ、不特定多数に呼びかける集会は居住者の「不安を惹起し、平穏な生活を妨害するものであることは明らかである」として集会の中止を要請してきました。また、同日行われた住まいサポート業務部との交渉において、担当者は「今回の集会は外部の人間が主体であり、居住者の集会ではなく団地内での集会所の利用にふさわしくない」と述べ、利用条件を明らかにするよう求めたところ、「利用条件は内規で決められているもので、開示することはできない」と強弁しました。また、具体的にどのような不安があり、どのような平穏な生活を妨害する行為があるのかという問いに対しても、なんら明らかにすることはなく、単に不安があるから使用を許可しないのだと開き直りました。

今回の集会は、これまでに居住者と2回の事前懇談を持って準備を進めており、当然ながら現居住者との対立を求めるものではありません。ただ、1000戸以上もある空室を見学し、無駄になっている社会資本の有効な活用を要求しているだけのものです。さらに、申請者が居住者であることからも、居住者も含めた集会であり、居住者と外部の者が交流することも大きな目的の一つです。また、使用不許可の理由として、利用条件を明らかにするべきであるにも関わらず、内規を口実に条件を開示しないことで、居住者の意思をも無視したURの判断による恣意的な運用が許されてはなりません。

そもそもURは独立行政法人として一定の公共性をもつものであり、団地ないし集会所はただひとりURだけのものではありません。CMなどでは「人は、ふれあって育つ」というコピーで、人と人との交流ができる集合住宅であることを謳っておきながら、一方で団地居住者の交流場所である集会所を使用不許可にするといった今回の処置は、UR自身の欺瞞をさらけ出したものであり、なんら公共性を省みないその私有化が暴露されたものです。

私たちは、URによる集会所の使用不許可に強く抗議するとともに、一刻も早い社会資本のまっとうな活用を求めます。


【緊急アピール】『空いてるじゃん!住まわせてよ! 花畑団地現地ツアー』

『空いてるじゃん!住まわせてよ! 
花畑団地現地ツアー
~住まいのセーフティネットを作ろう~』
緊急アピール

09年2月11日

住まいの貧困に取り組む準備会

2009年に入り、昨年から続く「世界的な不況」により、雇用情勢が一挙に悪化し、派遣社員や期間従業員が違法・無法な解雇や雇い止めにより職を失い、住まいも同時に失うという事態が拡大しています。厚生労働省は昨年12月の報告で、08年10月~09年3月までの間に非正規従業員の雇い止めによる失業者が約8万5千人に上ると発表しましたが、「景気悪化」に歯止めがかからないことからさらに増えることが予想されます。そのうち、住居喪失者は2000人あまりとされていますが、5万人については住まいの状況把握ができていないことからも、さらに多くの方が住む場所を失うことが懸念されます。

この間、国土交通省は昨年12月24日に離職者の居住安定確保に向けた対策で都市再生機構(UR)賃貸住宅の空家の活用を発表しました。しかし、対象物件は、都内では東久留米市のひばりが丘団地のみでそれもわずか9戸、神奈川県と埼玉県を合わせても合計45戸に過ぎません。これでは住まいを失う方への住宅確保(UR住宅の活用によるもの)には到底程遠いと言わざるを得ません。

一方、東京都足立区には都市再生機構(UR)(旧公団住宅)が管理・運営する花畑団地という住宅団地があります。この花畑団地は東武伊勢崎線竹ノ塚駅からバスで約15分ほどの場所にあり、全部で80棟、約2700戸ある巨大団地です。ここはURにより10年前から建替え対象団地に指定され、以来新規入居者の募集が停止され、現在1000戸以上が空室で入居者も高齢者が圧倒的に多い状態です。また、同団地は1千戸以上の住宅を壊す計画が立てられているので、今回の離職者の住宅からも外されています。しかし、これらの空室は、少し清掃さえすればすぐにでも住める部屋なのです。

さらに、URは1千戸以上の取り壊した住棟の跡地については、商業施設の誘致や民間への売却を計画しています。つまり、このままでは現居住者の住まいの権利さえ守られないことが憂慮されます。

夜を寒空の下で過ごすことを余儀なくされる仲間が多くいる一方で、すぐそばにはすぐにでも入居可能な部屋が数多く残され、さらには十分使えるこの住宅を壊そうとしている。こうした無策・無謀による社会資本の不活用が許されていいわけがありません。人の生存がかかっている情勢において、こうした計画を全面的に見直し、空室に緊急一時的に入居させ、住まいの確保を行うことがなによりも優先されるべきです。

世帯主が70歳以上である世帯が半分以上という高齢者の多い花畑団地。この団地の地域コミュニティにとっても、若年層、若年世帯が多数入居することによりソーシャルミックスが達成され、コミュニティの活性化にもつながります。そして団地内の高齢者世帯を対象とした介護などの仕事の掘り起こしについても期待できます。

私たちは、花畑団地の空室をすぐに開放し、雇い止めによる住居喪失者をはじめ、野宿やファーストフード、ネットカフェでの生活を余儀なくされる住まいの貧困(ハウジングプア)の当事者を直ちに入居させるよう求めます。
また、住まいの公的セーフティネットを少しでも拡充しなければならないにも関わらず、団地住宅の1千戸以上の解体・除却、団地の土地の民間への売却といった営利に走ることは許されず、このような住まいの権利への侵害に対し強く反対します。


団体賛同:国民の住まいを守る全国連絡会(18団体)、生活保護問題対策全国会議、スマイルサービス闘争支援する会、フリーター全般労働組合、NPO自立生活サポートセンターもやい、全国一般労働組合東京南部、全国一般全国協、全国一般東京東部労働組合、反貧困ネットワーク、借家人権利向上委員会、平和への結集をめざす市民の風、山谷労働者福祉会館活動委員会、首都圏なかまユニオン
以上13団体

個人賛同:松元千枝(全国一般東京なんぶ)、佐々木有美(ビデオプレス)、伊藤緑(看護師)、岩川保久(翻訳・通訳者)、池田一慶(ガテン系連帯代表)、稲葉剛(NPOもやい代表理事)、松原明(ビデオプレス代表)、樋口直人(徳島大学教授)、稲葉奈々子(茨城大学教授)、若松由佐子(すまい・まち工房)、岩田哲夫(個人事業主)、酒井恵介(弁護士・東京市民法律)、佐藤修三(三多摩自由労働者組合)、佐藤有紀子(豊島区民)、戸舘圭之(弁護士)、笹沼弘志(静岡大学教授)、岡本祥浩(中京大学教授)、太田光征(平和への結集めざす市民の風)、川西玲子(著述業)、久松重光(翻訳業・山梨県)、田中和恵(千葉市民)、田中恵子(千葉市民)、宮坂貫司、川元みゆき(関西学院大学大学院)、渕田和子(司法書士)、藤井吉祥(大学院生)、さとうしゅういち(社会市民連合事務局長・民主党員)、永野勇(保険代理店)、きくちゆみ(グローバルピースキャンペーン)、赤石千衣子(しんぐるまざあずふぉーらむ理事)、兼高利枝子(千葉県市川市)、高須裕彦(一橋大学大学院)、湯浅誠(反貧困ネット事務局長・派遣村村長)、大平正巳(フリーター全般労組副委員長)、井黒豊(茨城県・一市民)、内山智絵(東京精神医療人権センター)、池辺幸恵(平和のピアニスト)、井形美代子(大学院生)、谷靖介(弁護士・茨城県)、SO権田(のじれん)、宇都宮健児(反貧困ネット代表)、井形和正(大学院生)、佐藤一穂(会社員)、浦松祥子(山吹書店)、早坂智桂子(山形司法書士会)、鈴木俊志(首都圏なかまユニオン)、坂庭国晴(住まい連)、藤本龍介(スマイルサービス闘争を支援する会)、河添誠(首都圏青年ユニオン書記長)、藤井豊味(女性ユニオン東京書記長)、伊藤圭一(全労連)、山本創(難病の会)、小森彦(偽装請負を内部告発する非正規ネット)、徳武聡子(司法書士・生活保護問題全国会議)、おぐら修平(足立区議会議員)、吉祥眞佐緒(エープラス・ひとり親家庭サポートセンター)、後閑一博(ホームレス法的支援者交流会共同代表)、塩毛誠司(ホームレス法的支援者交流会賛助会員)、なかのまきこ(ひげとしっぽ企画・獣医師)、小久保哲郎(弁護士・あかり法律事務所)、のぶきみほ(こぐまの森)、堀之内洋一(NPOかごしまホームレス生活者支えあう会理事長)、志摩村和可(ホームレス総合相談ネットワーク)、酒井克明(びよんどネット)、北川由紀彦(東洋英和女子学院大学等講師)、仁平典宏(中野夜回りの会メンバー)、小野田英(フリーター全般労組組合員)、垣田祐介(大分大学准教授)、高見亮(弁護士・浜松綜合法律事務所)、中島明子(和洋女子大学教授)、奥山たえこ(杉並区議会議員)、佐藤新哉(社会福祉法人いのちの電話評議員)、若鍋啓治(全国青年司法書士協議会副会長)、辻清二(全国生活と健康を守る会事務局長)、林治(弁護士・代々木総合法律事務所)、喜田康子(日本居住福祉学会会員)、池田幸代(新宿野宿者女性の会メンバー)、吉川宏康(司法書士)、馬場忠治(鹿児島国際大学教員)、藤田孝典(ほっとポット・社会福祉士)、宮澤進(ほっとポット・社会福祉士)、高松玲香(ほっとポット・社会福祉士、精神保健福祉士)、桑原匠(ほっとポット・社会福祉士)、中野綾香(ほっとポット・社会福祉士、精神保健福祉士)、高木博史(沖縄大学助教)、金子充(立正大学准教授)、大本圭野(東京経済大学教授)、江野尻正明(弁護士・法円坂法律事務所)、大賀絹江(目黒精神保健を考える会)、前田英輝(司法書士)、槌田順(自治労埼玉地域公共サービスユニオン)、大河内知彦(夜まわり三鷹)、蔵富美子(足立区母子会)
以上92名

【報道】住宅セーフティネットの確立を求める緊急アピール 申し入れ行動

08年12月24日に自民党へアピールの申入れ行動をしました。
その新聞報道です。

東京新聞12月25日朝刊
産経新聞12月25日朝刊

【緊急アピール】住宅セーフティネットの確立を求める緊急アピール

住宅セーフティネットの確立を求める緊急アピール
08年12月24日(水)
住まいの貧困に取り組む準備会 有志

 2008年の冬、突如として世界的な不況の波が押し寄せ、雇用情勢の悪化から、派遣社員や期間従業員が解雇や雇い止めにより職を失い、住まいも同時に失うといった事態が頻発しています。

 これは、95年の日経連による「新時代の『日本的経営』」以来、派遣業の拡大が繰り返されることで製造業にまで及び、いまや全労働者の3人に1人以上にもなった非正規労働者が、企業による雇用の調整弁として「使い捨て」にされることで、生存が脅かされるに至った労働問題です。

 そして、これは同時に、持ち家推進政策とともに進められてきた民間企業福祉や民間賃貸借市場に頼った居住施策の破たんによる住宅問題でもあります。

 非正規労働者は、収入が安定せず雇用期間も見通しが立たないことから、持ち家のためのローンを組むことはおろか、連帯保証人や入居時初期費用がハードルとなって民間賃貸住宅に住むことさえできないことがままあります。その結果として、住まいの貧困に曝された非正規労働者は製造業等の寮付き職場やネットカフェなどでの不安定な生活を選ばざるを得ないのです。

 一方で、住宅施策としては、1961年のILO(国際労働機関)による労働者住宅に関する勧告(第115号)が、使用者が直接住宅を提供することは特定の理由がある場合を除き、一般的に望ましくないことであるとしているにも関わらず、すべての人に国が基本的人権としての住まいを保障するといった政策とは逆に、生存に直結する住まいの提供を企業福祉を含めた民間市場に委ねてきました。その結果、2000年の調査では公的賃貸住宅は全住宅の7%に過ぎません。その公的賃貸住宅も若年層に対しては、ほぼ門戸が閉ざされているのが現状です。

 企業による住まいの提供が、雇用情勢の変動により生活の拠点である住まいに直接影響する点や、常に企業からの監視の目に曝されるといった点で好ましくないのは明らかです。

 また民間賃貸借市場においては、1990年代以降、家賃保証会社や悪質な「ゼロゼロ物件」業者(初期費用を低額にする代わりに入居者の居住権を侵害する契約内容を結ばせる業者)により、家賃を少し滞納しただけで入居者を退去させる等の被害が相次いでいます。これらは公的住宅政策の不在につけ込んだ「貧困ビジネス」であると言えます。

 本来であれば行政がしなければならなかった居住福祉政策を、企業福祉や民間業者に依存することでしなかった不作為ばかりではなく、そのことを放置してきた責任は重いと言わざるをえません。

 2008年12月15日より厚生労働省は、「派遣切り」等により社宅からの退去をされられた人々を対象に、雇用促進住宅の入居あっせんを始めました。まずは住まいの確保から始める、という政策の方向性自体は間違っていませんが、廃止決定をしていない雇用促進住宅に限定されるため地域や戸数に限りがあること、入居者がまずは6ヶ月限定の定期借家契約(更新なし)を締結させられることになり、居住権が保障されていないこと、すでにネットカフェや個室ビデオ店、ファーストフード店、あるいは野宿での不安定な生活を余儀なくされている方々が対象となっていないことなど、質量ともに不充分な対策であると言わざるをえません。

 私たちは、住まいはすべての人の基本的人権であるとの考えから、企業を含めた市場に委ねることのない安定的な住宅政策への転換を求めます。

 そのための第一歩として、廃止決定をした雇用促進住宅を含めた運用されていない社会資本の活用を緊急に図るべきです。
その上で、「派遣切り」により社宅を退去させられる人たちだけではなく、ネットカフェや路上など不安定な居所で暮らさざるをえない「ハウジングプア」状態に置かれた人たち全体が、安心できる住居を確保できるよう、政府は公的住宅を拡大し、低所得者に対する家賃補助制度を導入すべきです。

 誰もが安心して暮らせる住まいを確保できるよう、私たちは住宅セーフティネットの確立を強く求めます。


賛同団体(五十音順):NPO法人自立生活サポートセンター・もやい、カトリック社会活動神戸センター、釜ヶ崎のまち再生フォーラム、近畿生活保護支援法律家ネットワーク、国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、困民丸相談所、山谷労働者福祉会館、借家人権利向上委員会、城北借地借家人組合、スマイルサービス闘争を支援する会、生活保護問題対策全国会議、「生の保障」の再生を求めるネットワーク富山、生・労働・運動ネット、全大阪借地借家人組合連合会、全国クレジット・サラ金被害連絡協議会、全国クレジット・サラ金問題対策協議会、全国一般全国協、全国一般労働組合東京南部、全国借地借家人組合連合会、賃貸住宅追い出し屋被害対策会議、東京借地借家人組合連合会、特定非営利活動法人・仙台夜まわりグループ理事会、ホームレス総合相談ネットワーク、夜まわり三鷹
以上24団体

賛同個人(五十音順):四十物(あいもの)和雄(困民丸相談所・雑用係)、青野貴美子(松山たちばなの会)、青山定聖(弁護士)、赤石千衣子(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事)、浅田奈津子(司法書士)、有園正俊(精神保健福祉士)、井口鈴子(司法書士)、伊澤正之(弁護士)、石井芳郎(城北借地借家人組合・組合長)、稲毛由佳(社会保険労務士)、稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長)、稲本信広(全国青年司法書士協議会)、猪股正(弁護士)、猪股智夫(麻布大学准教授)、岩川保久(翻訳・通訳者)、岩崎淳子(前高松市議会議員・二五の会)、岩田哲夫(個人事業主)、岩田正美(日本女子大学人間社会学部)、乾亮太朗(司法書士)、上野勝代(神戸女子大学教授)、内山智絵(東京都地域精神医療業務研究会)、宇都宮健児(反貧困ネットワーク・弁護士)、浦松祥子(賃金と社会保障)、及川智志(弁護士)、大倉祐二(大阪市立大学研究員)、大河内知彦(夜まわり三鷹)、大部孝(司法書士)、大本圭野(東京経済大学教授・日本住宅会議理事)、岡本祥浩(中京大学教授)、奥山たえこ(杉並区議会議員)、おぐら修平(足立区議会議員)、小澤吉徳(司法書士)、小野順子(弁護士)、垣田裕介(大分大学・福祉社会科学研究科准教授)、加藤政洋(立命館大学教員)、椛島敏雄(弁護士)、金子直樹(弁護士)、川島章平(地方公務員)、河添誠(首都圏青年ユニオン書記長)、上溝博司(司法書士)、河野聡(弁護士)、川元みゆき(ホームレス支援を考える会・オープンハンドまつやま)、木下浩(司法書士)、木村達也(弁護士)、木村裕二(弁護士)、北川浩司(弁護士)、北川由紀彦(東洋英和女学院大学等講師)、木谷公士郎(司法書士/兵庫県司法書士会)、小伊藤亜希子(大阪市立大学教員)、小久保哲郎(弁護士、生活保護問題対策全国会議事務局長)、小玉徹(大阪市立大学・創造都市研究科教授)、後閑一博(ホームレス法的支援者交流会代表)、後藤道夫(都留文科大学教員)、後藤悠(借家人権利向上委員会)、今野晴貴(NPO法人POSSE)、齋藤輝二(九州住宅会議事務局長)、酒井克明(びよんどネット)、酒井恵介(弁護士(東京弁護士会))、酒井健雄(弁護士(第二東京弁護士会))、坂庭国晴(国民の住まいを守る全国連絡会・代表幹事)、佐々木(ホームレス自律支援ハウス・カトレア)、笹沼弘志(静岡大学教授)、佐藤一穂(会社員)、佐藤修三(三多摩自由労働者組合)、佐藤富美男(全国借地借家人組合連合会・副会長)、澤口宜男(夜明けの会)、全泓奎(大阪市立大学都市研究プラザ准教授)、塩崎賢明(神戸大学教授・日本住宅会議理事長)、志賀文哉(富山大学教員)、芝田淳(司法書士)、篠田尚幸(NAO設計室主宰)、下村幸仁(会津大学短期大学部ホームレス支援夜回りの会)、鈴川千賀子(社会福祉士)、鈴木俊志(首都圏仲間ユニオン)、鈴木浩(福島大学教授)、鈴木實(岡山野宿生活者を支える会)、須田光照(全国一般労働組合東京東部労組・書記次長)、関耕平(島根大学教員)、関井正博(司法書士)、高幣真公(APWSL日本委員会共同調整委員)、高沢幸男(寿支援者交流会・事務局長)、高橋尚子(NPO法人グローバルヒューマン)、竹内陸男(日本住宅会議理事)、竹川愼吾(富山大学名誉教授)、辰巳裕規(弁護士)、田場暁生(弁護士)、千原茂昭(労金協会)、塚本聡(介護支援専門員)、辻清二(全国生活と健康を守る会連合会事務局長)、堤圭史郎(大阪市立大学研究員)、土屋トカチ(映画監督)、妻木進吾(龍谷大学等非常勤講師)、鶴田啓洋(社会福祉士・精神保健福祉士)、徳武聡子(司法書士)、戸舘圭之(弁護士)、冨岡典子(首都圏青年ユニオン)、中島明子(和洋女子大学教授・日本住宅会議理事)、中嶋陽子(京都健康よろずプラザ)、中野真樹子(ひげとしっぽ移動どうぶつ病院代表・獣医師)、長田悦子(司法書士)、永田廣次(司法書士)、中村あずさ(社会福祉士)、中村宏二(司法書士(兵庫県司法書士会))、新里宏二(弁護士)、信木美穂(ホームレス総合相談ネットワーク)、拝師徳彦(弁護士)、橋詰栄恵(尼崎あすひらく会)、橋野高明(日本キリスト教団牧師)、觜本郁(神戸公務員ボランティア)、長谷川寿夫(日本住宅会議理事)、平松朝彦(サスティナブルマンション研究会)、平山洋介(神戸大学教授)、藤井克彦(笹島診療所ソーシャルワーカー)、藤井吉祥(都立大/首都大院生)、藤本龍介(スマイルサービス闘争を支援する会)、舟木浩(弁護士)、船越康亘(全国借地借家人組合連合会副会長)、穂坂光彦(日本福祉大学教授)、細谷紫朗(東京借地借家人組合連合会・専務理事)、堀江尚子(大阪大学人間科学研究科博士後期課程)、堀之内洋一(NPO法人かごしまホームレス生活者支えあう会代表)、本田哲郎(釜ヶ崎反失連共同代表)、本多良男(全国クレジット・サラ金被害連絡協議会)、前田昭彦(都留文科大学教員)、増田尚(弁護士)、水内俊雄(大阪就労福祉居住問題調査研究会・代表)、水谷英二(司法書士)、水村秀男(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)、村上有慶(沖縄職業能力開発大学校教員)、村上英吾(日本大学経済学部准教授)、村澤潤平(新聞奨学生110番(仮))、森川文人(ホームレス総合相談ネットワーク代表・弁護士)、松元千枝(全国一般労働組合東京南部)、山田治彦(弁護士)、山田良治(和歌山大学教授)、山西麻依(大阪市立大学大学院文学研究科前期博士課程地理学専攻)、山本栄一(東京司法書士会)、山本創(難病の会)、山森亮(同志社大学教員)、湯浅誠(反貧困ネットワーク事務局長、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長)、湯沢直美(立教大学教員)、吉田豊樹(夜明けの会)、吉田洋一(NPO熊本クレ・サラ被害をなくす会)、寄藤晶子(松本大学総合経営学部講師)、若松由佐子(すまい・まち工房主宰・日本住宅会議理事)、渡邉恭子(弁護士)、渡辺潤(ソーシャルワーカー)、渡邉充春(釜ヶ崎講座代表)
以上148名

08年10月19日反貧困世直しイッキ 住まいの貧困分科会記録①

はじめに

 これは去る10月19日に東京・明治公園にて行われた反貧困世直しイッキ大集会の住まい分科会における記録集です。
 当日は、全体では2000人が参加し全国キャラバンのゴールイベントやデモなどが行われ、反貧困を考える12の分科会が開かれました。住まい分科会はその分科会の一つで、「安心できる住まいをみんなの手で」というスローガンの下、12名の当事者・支援者がそれぞれの取り組みや体験から住まいの貧困についての報告をしました。

 当日は参加者は40名ほどで2時間という限られた時間の中、リレートーク形式で次々と発言が続きました。住まいの貧困をめぐるそれぞれの報告は、とても内容の濃いもので当日参加できなかった方にも、ぜひ集会を知っていただきたいと思い、記録集を作ることにしました。

 この記録集が今後の住まいの貧困をめぐる取り組みの一助となればと願います。



【住まい分科会の企画趣旨】
 住まいは普遍的な人権であり、全ての人は健康で文化的な居住施設への権利を有しています。住まいは生存にとって必要不可欠なものであり、その権利は、社会的身分がどうあれ、国籍・宗教・性別・収入・家族関係等によって、いかなる差別による侵害も許されるべきではありません。

 安定した住まいを確保できない者は、ハウジングプアともいうべき貧困層であり、生活の拠点となる住まいの問題は生存の問題に直結します。

 安心できる住まいがなければ、安定した生を送ることもできません。

 その基本的権利を得ることさえ難しく、その問題の数々は、個々の具体的な住まいを語ることから見えてきます。

 賃貸住宅を借りる際に必要な保証人、住み込みに典型的な労働と住まいの連動、いわゆる門前払いといわれる居住差別、居住権を保障するに満たない生活保護行政、住まいを不安定にさせる定期借家制度など、これらは各スピーカーに重複した課題であり、住まいの貧困を作りだす要因となっています。

 住まい分科会では、各当事者や支援者がそれぞれの取り組みや現状を語ることから、安心できる住まいをみんなの手で得るための課題を共有し方法を探っていくことを目指しています。

 おそらくそれはみなさん自身の課題にもつながるところはあるかと思います。
 住まいの貧困をなくすために、みなさんの参加とご意見をお待ちしています。





テーマ : 暮らし・生活
ジャンル : ライフ

08年10月19日反貧困世直しイッキ 住まいの貧困分科会記録②

【各スピーカーの紹介】(当日発言順)

土田 政彦(スマイルサービス事件裁判原告)
派遣社員時代にスマイルサービスの物件において、さまざまな被害を受けてきました。低所得層や日払い等の派遣社員などをターゲットにし、さまざまな違法行為を行ってきたスマイルサービスに対し、きちんと被害者に対しての謝罪、ならびに社会に対する責任をきちんと全うしてもらいたいことを訴えていきたいです。
連絡先:
スマイルサービス闘争を支援する会
e-mail:nosmileact@gmail.com

草間 幸彦(「ホームレス地域生活移行支援事業裁判」を支える会)
「ホームレスに低家賃でアパートを提供」との触れ込みで都内で実施された「地域生活移行支援事業」。しかし、事業での「アパート」の賃貸契約は2年間の「定期借家契約」でした。この定期借家契約の是非を問う裁判の報告などを通じて、居住権について一緒に考えていければと思います。
連絡先:
「ホームレス地域生活移行支援事業裁判」を支える会事務局
スープの会・地域生活支援ホーム
電話/FAX:03-3260-1877(担当・後藤)
事務局(問い合わせ)後藤直通:090-4009-4719
e-mail :soup1994_2@mac.com

細谷 紫朗(東京借地借家人組合連合会)
借地借家人組合の連合会は、40年にわたり借地借家借家人の権利を守って活動しています。規制緩和によって借地借家法が改悪されようとしています。基本的人権である居住の権利を守るために、借地借家法の改悪をストップさせ、借家人を期間満了で無条件に追い出す定期借家制度を廃止させましょう!
連絡先:
東京借地借家人組合連合会
〒102-0072
東京都豊島区西池袋5-13-10 ハイマート西池袋101
電話  03-3982-7277
FAX  03-3982-7659

戸舘 圭之(弁護士、スマイルサービス被害対策弁護団事務局長)
スマイルサービスの問題を通じて、一企業の違法行為という問題にとどまらず、日本における住居権保障の在り方についても広く社会に広めていきたいと考えています。

川西 浩之(個人)
障害者、車いすを利用している者の立場から、私自身のヘルパーを入れた生活をしているきっかけを話しながら、住宅を借りた時の問題を話したいと思います。

横山 晃久(自立生活センターHANDS世田谷)
福祉の分野がいま大きく後退しています。福祉は行政責任で行うべきと思っています。障害者の立場として、生活保護を取り、地域での自立生活を勝ち取っていくためにも障害者の枠を超えて、いろんな人たちと連帯していかなければ、この日本は変えられません。
連絡先:
自立生活センターHANDS世田谷
hands@sh.rim.or.jp

鈴木 卓郎(精神障害者地域生活支援 とうきょう会議)
日本の精神科病院には、何十年間も入院生活を余儀なくされてきた人たちが大勢います。その人たちが退院して地域で当たり前の生活を送るために、住まいの確保は最も基本的な条件ですが、社会的偏見や支援制度の不備などによって、現実には多くの困難がともないます。分科会では、そうした問題に取り組む支援者の立場で発言します。
連絡先:
精神障害者地域生活支援とうきょう会議

椛木(しんぐるまざぁず・ふぉーらむ(会員・当事者))
シングルマザーはただでさえ部屋が借りにくいのに、苦労して借りた部屋を生活保護と引き換えに強制的に解約、監獄のような母子支援施設に入所させられ、子供の保育園は遠くなるわ風呂はないわ門限はあるわでそこから抜け出した経験で感じたことを訴えたいです。

鈴木 俊志(国内保証援助会被害者(なかまユニオン))
家を借りるため、就職のために何かと必要な保証人、これらを今ではインターネットで手軽に用意できるのですが、そこには思わぬ落とし穴が待っているのです。俗に言う貧困ビジネス。最近急増する保証人代行トラブルをお話しします。
連絡先:
なかまユニオン 鈴木俊志 070-5553-4890
arere@ric.hi-ho.ne.jp

稲葉 剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)
<もやい>では、路上・ネットカフェ・施設・病院など、広い意味での「ホームレス状況」にある方々の入居支援・生活支援をおこなってきました。居住権を奪われて、「ハウジングプア」状態に置かれた人々の状況をもっと社会に訴えていければと思っています。
連絡先:
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい
 東京都新宿区新小川町8-20こもれび荘
 電話:03-3266-5744(火曜・金曜)、FAX:03-3266-5748
 
ジェネヴィーヴ・トラン(カナダ人教師)
カナダで、日本の私立学校教師として採用され、自分でアパートを探した。住宅手当も支払われていたが、2年経って突然の不当解雇を言い渡され、アパート退去を命じられた。学校側は、30日以内に退去すれば100万円の引越し私物輸送費を負担すると申し出た。退去を拒否したところ、学校と不動産に裁判で訴えると脅される。現在、不当解雇を訴え雇用主を提訴。
連絡先:
全国一般労働組合東京南部
港区新橋5-17-7 小林ビル2階
Tel: 03-3434-0669
Fax: 03-3433-0334
e-mail: nugw_ts@jca.apc.org
(労働相談お受けします)

戸叶 トシオ(山谷労働者福祉会館活動委員会)
私たちは、山谷、隅田川、上野公園など東京東部地域で野宿して暮らす人々と共に、居住と労働の問題を中心に活動を続けてきました。居住について、私たちは野宿からアパートでの生活を求め、生活保護を集団で申請する行動を昨年の12月から行っています。水際作戦(役所窓口で、貧困層を生活保護からの排除する動き)に対し、多くの仲間が抗議の声をあげ、これまで200人弱の仲間がアパートでの生活を獲得してきました。この行動を中心に報告します。
連絡先:
山谷労働者福祉会館
〒111 東京都台東区日本堤 1-25-11
電話・FAX:03-3876-7073
電子メール: san-ya@jca.apc.org

司会:藤本 龍介(借家人権利向上委員会)
借家人の権利を向上させるために頑張る委員会です。借家人は意外に法律で守られています。不当な大家や業者には力を合わせて立ち向かいましょう。現在、主にスマイルサービスという西新宿の不動産業者による不法行為事件に取り組んでいます。
連絡先:
借家人権利向上委員会
e-mail:syakuyanin@gmail.com

テーマ : 生活・暮らしに役立つ情報
ジャンル : ライフ

08年10月19日反貧困世直しイッキ 住まいの貧困分科会記録 おわりに

おわりに

 当日の参加者からのアンケートに次のようなものがありました。
「他の分科会に行こうか迷った末に、住まい分科会にたどりつきました。来てよかったです。私にとっては1番大きな問題だったようです。」
 住まいの問題は、人の生にとって根本的な問題であるにも関わらず、これまでなぜかそれほど大きく問題化されることもなく、なおざりにされてきました。

 集会でそれぞれ発言された内容は、一見すると個別の問題であるようですが、実は共有される課題が多くあります。それは必ずしも住まいだけの問題に限ったことではありません。
 これらの課題を突破するには、垣根を越えたつながりとさらなる運動のうねりが必要となるでしょう。もし、この集会がその端緒となるのであれば、それにまさることはありません。

 最後に、この住まい分科会は、発言されたスピーカーをはじめ運営・準備に携わったすべてのみなさんの力によるもので、その惜しみない支えに改めて感謝いたします。

藤本龍介(借家人権利向上委員会)


カテゴリが「10.19集会になっているもの)は住まいの貧困に取り組む準備会で編集した08年10月19日に行われた反貧困世直しイッキでの住まい分科会記録集です。
紙媒体でも発行しており、08年12月11日に第1刷をだしました。
カンパ200円で配布しておりますので、集会などでお買い求めください。


【10.19住まい分科会】戸叶トシオさん(山谷労働者福祉会館活動委員会)

戸叶トシオさん(山谷労働者福祉会館活動委員会)
 私たちは、東京東部地域、山谷、隅田川、上野公園などで野宿しながら暮らす人、または野宿の経験をくぐった人たちと一緒に活動している。東京東部地域というのは山谷という日雇い労働の町が真ん中にある。野宿している仲間で半分くらい人は若くから日雇いの仕事をしている人たち。仕事の仕方、暮らし方に独特のものがあって、相互扶助的な雰囲気や反権力的な姿勢があり、すばらしい人たちだ。そういう人たちと一緒に頑張っている。
 野宿というと居住を完全に奪われている状態だと思われがちだが、実際には多くの排除の経験と直面しながら、居住を回復していく過程でもある。最近では最も厳しく生活保護から排除されている野宿の仲間たちと、「集団で野宿からアパートへ」という要求を行い、いままで野宿の状態から200名弱の仲間が直接アパートへ入るという成果を出している。
 野宿をめぐる生活保護の状況と労働の問題が密接に絡んでいるので、そのことを報告し、その後、生活保護の集団申請について報告したい。
 生活保護の現状は、水際作戦と呼ばれる役所の窓口で貧乏人を排除することが行われているが、特に野宿労働者に対しては厳しく、若いとか健康であるといった理由で門前払いされることがままある。それだけではなくて、野宿の仲間に特化した制度として収容施設ができてしまっている。
 先ほどもさくらハウスの殺人事件のことがあったが、悪質な第二種宿泊施設の問題がある。この施設は中間施設という位置づけで、野宿からアパートへ入るまでの間に一時的に待機するというもののはずだ。法律的には、入所を強制することはできず、そのような施設での生活を必要とする人が納得して入ることになっている。
 しかし、現状では、役所の窓口による実質的な強制収容が蔓延している。「施設へ入所しなければ生活保護をかけない」という旨のことが役所によって言われている。
 また、多くの施設において入所者は劣悪な生活を強いられる。生活の支援のためのフォローは全く不十分で、相談者(ケースワーカーのようなもの)をおいているところはほとんど無い。一旦施設に入ると、役所のケースワーカーが来るのは一月に一度くらいのことが多く、ほとんど放置状態にされることが多々ある。
 生活保護費は1ヶ月に大体13万円だが、そのうちの10万円が諸経費として施設にピンハネされる。本人は3万円で月々の生活を強いられる。相部屋でプライバシーはほとんどない。朝4時に起きて仲間の食事を準備しなければならないといった規則があるところもある。古株による暴力支配が蔓延しており、そういう状況で2008年のはじめに殺人事件が起こってしまった。このような施設の存在は、生活保護を受ける上で大きな障壁になっている。役所からすると防波堤として使えるということで、最大手の団体だと1年で60億円くらいの金が動いているという報告がある。
 一方で労働の現状に目を向けると、野宿の仲間を専門に募集をしている飯場がある。飯場というのは住み込みで土木や建築の仕事につくための宿舎で、衣食住が労働が一体となっているために奴隷労働の温床になりやすい。私たちはこの夏に、飯場の条件についてのアンケートを行った。その結果によると、賃金について多くの手配師がはっきり提示せず、そもそも払う気がなく野宿労働者を集めるケースが非常に多くある。宿泊費や食費が引かれるために、1日仕事をしたら3日休ませるということを繰り返す。そうすると、いくら働いても手元に残るお金がまったくないということが多くある。
 ただ、仲間も黙っているわけではなく5.6年前に朝日建設の飯場で野宿者3人が殺害されたが、この飯場は野宿の仲間を専門に集めていた。ここで3人に仲間が殺された理由が、無賃労働を強いられていたことに抗議し、賃金を支払えと声を上げたことが原因だという。
 現在進行中の労働争議で、暴力団が直接人を集めに来ていて、そこで労働争議化を行ったことにより、支援者に対して暴力を用いた襲撃が加えられ、4針くらいを縫うケガを負わされた。他の支援者に対しても、「このままで済むと思うな」といった脅迫電話が入れられた。このような極端な暴力が蔓延する状況が日常的にある中で、公共圏に小屋を構えるということは、奴隷労働を拒否し、自分たちのペースでの生活を守っていくという意味があるということを確認したい。
 これまでに述べたように、生活保護も取りにくい状況で、公共地からも野宿の仲間を追い出す際に、行政がよく使ってくる手段が「対策とセットでの排除」だ。山谷地域でも、2年間限定のアパートを用意し、そこに入るように迫り、入らねば公共地から出て行けと追い出しが図られた。あまりにひどいと多くの仲間が怒り、私たちも怒った。なんとかできないかと考え、一つは、いろんな場所で居住権を実現していこうと、公共地に小屋を構える必要のある仲間は小屋を立てること。もう一つは、生活保護のまともな運用を求めて、野宿から直接アパートへ入ることを要求している。役所の前に一晩占拠して、野宿の当事者と支援者を含めて100人くらいが集まり寝るという行動に引き続き、はっきりとアパートへの入居を要求して生活保護の申請を集団で行った。こちらも準備してしっかりと行い、月に一度そういった行動をしているが、いまのところ仲間たちの力でなんとか押し切っているという状況だ。
 生活保護を単に取れればいいということではなく、どのように取っていくかが問題で、私たちは集団性が一つの鍵だと考えている。みんなで動いていくことで、一人では声を上げられないところを、共通の体験を確認し、確信を深め、声をあげ、胸を張って、生活保護を取っていく、あるいは公共圏に小屋を作っていく、という活動を行ってきた。これからも続けていく。

【10.19住まい分科会】シンディ―さんの話(カナダ人教師)

Cindy's case:
Hello, my name is Cindy (not her real name). I’m an elementary school teacher from Canada.
I was imported by an international school run by French-Canadian Catholic Brothers. And the reason why they wanted me from overseas was because I am a native speaker of English and I am also licensed to teach in English. At an international school, all the subjects are taught in English.
In order to get a teacher to move all the way from their home country to Japan, they have to offer a very attractive package. So they offered me a high salary and housing subsidy. So I said of course I’ll move to Japan. They also shipped over 450 kilograms of my personal belongings. They told me that the job at the school is very secure. In fact, the turnover is about 13 years and some teachers have worked as long as 38 years.
So when I came to Japan, I moved very close to the school, which was unfortunately located in one of the highest real estate areas in Tokyo.
I paid six months rent up front of my own money, but I figured it would be ok because I would amortize this over many years. Unfortunately, after only two years I had a power harassment situation at the school and had to call in the Tokyo government mediator to solve this problem. But the school just thought that I was a troublesome person and instead of trying to solve the problem, they fired me. They told me to get out of my apartment right away. They told me that I had to go back to Canada and they would ship all my things back. If I didn’t agree to it, I would have to bear the cost of shipping things back. Actually, before it got this ugly, I had an intuition that such a thing could happen. So, I had changed the locks to a really high-security lock that no one can break into. I used the high salary they paid me to pay for this lock. And now they are really frustrated because they can’t physically remove me.
The school, like many companies who hire foreigners in Japan, ties housing or accommodations to the job. This is a potentially dangerous situation because it allows the company to hold too many aspects of a person (or family’s) life in its hands. In my case, the school used this leverage to make it nearly impossible to argue with them once they decided to fire me. In their way of thinking, I had only two choices: accept being fired and leave Japan or stay and fight them, but be homeless. For many people, that would be impossible to decide. As a foreigner who has only been here for 2 years, I would not know how to go about getting a guarantor for a new home. Despite all this, I have decided to stay and squat in the apartment and sue the school for wrongful dismissal.
I want to talk a little bit about the difficulty about being a foreigner in Japan. I don’t mean to sound ignorant, but I still can’t read and write Japanese as well as I’d like to. So it’s been really difficult to understand what to do in my case. I don’t want to go back to Canada because I’ve left my life there. So thank goodness for these organizations and for the clarity of their information where I can get help. That’s really all I wanted to say. But I think the wealth of a great country should be judged based upon how well they treat marginalized people. And from a point of view of a foreigner, I have to say that the situation has much to be improved. Thank you for listening.


シンディさん(カナダ人教師)
 こんにちは、私の名前はシンディ(仮名)といいます。カナダから来た小学校の教師です。
 私は、フランス系カナダ人のカトリック宣教師が経営するインターナショナル学校へと(まるで商品のように)輸入されてきました。彼らが海外からわざわざ私を呼び寄せたのは、私が英語のネイティブスピーカであることと、英語で教える教員免許を持っていたからです。インターナショナルスクールでは、すべての教科を英語で教えています。
 教師を母国からわざわざ日本へ転勤させるために、彼らはとても魅力的な雇用条件を提示します。私には、高額なサラリーと住宅手当の申し出があったので、もちろん日本へ引っ越すことに決めました。そのうえ学校は、450キロ分の私物などの郵送費も負担してくれました。学校での雇用はちゃんと保障されていると言われ、実際に平均の勤続年数は13年で、長くて38年も仕事をしている教員がいました。
 そこで、日本へ転勤し、学校の近くに住むことにしました。不運にも、そこは、東京でももっとも不動産が高いといわれている地域でした。
 まず、6か月分の家賃を前払いしました。この先何年も同じアパートに住むことになるのであれば、同じことだと思ったからです。しかし、残念ながら就職して2年目に学校でパワーハラスメントに遭いました。そして問題を解決するために東京都労働委員会へ告発しました。学校は、私を問題児だとみなし、問題解決どころか私を解雇しました。その後すぐにアパートから退去するようにも言われました。カナダへ帰るように言われ、私物も送り返すつもりだといわれました。私が(解雇に)同意しないのであれば、自分で私物の輸送費を負担することになるとも言われました。事態がこれほど深刻になる前に、私は展開を予期したので、アパートの鍵を変えてしまいました。それはとても頑丈な安全性の高い鍵なので、誰も壊してアパートの中へ入ってくることができません。学校が私に高い給料を支払っていたおかけで、私はこの誰も壊すことのできない鍵を買うことができました。今では、私を排除することが物理的に無理なため、彼らはとてもいらついていると思います。
 日本で外国人を雇用する多くの会社のように、この学校は住宅と雇用を結びつけて雇用条件にしています。これは考えてみれば危険なことです。こうすることによって、雇用主が個人(または家族)の生活を左右できてしまうからです。私の場合も、学校は、解雇を決めたことに対して私が異議申し立てできないように、この手を使ってきました。彼らの考えでは、私には二つの選択肢しかなかったと思います。ひとつは、解雇を受け入れ日本を去ること。もうひとつは、居残って権利闘争すること。しかし、ホームレス状態になること。多くの人にとっては、とても難しい選択です。ほんの2年間だけしか日本に住んでいない外国人として、私は新居を探すにしても、保証人をどうやって見つけたらいいのかもわからなかったでしょう。しかし、私はアパートに居座り、不当解雇で学校を法的に訴えることにしました。
 少しだけ、外国人として日本に住む難しさについて話したいと思います。無知をさらすつもりはありませんが、自分で願っているように日本語の読み書きができません。それなので、自分の裁判も理解するのがとても難しいです。私は自分の生活をすべて引き払ってきたので、カナダにもう帰るつもりはありません。それなので、こういった団体が、私のような者がどこで支援を受けられるかというわかりやすい情報を配信してくれることにとても感謝しています。私が言いたかったのは、これがすべてです。ただ、一国のすばらしさや冨というのは、その国が底辺で困っている人たちをどう支援しているかで判断されるべきです。外国人の視点からすると、日本はまだまだ改善すべきところがあると思います。ご清聴ありがとうございました。

【10.19住まい分科会】稲葉剛さん(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)

稲葉剛さん(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)
 10月1日に、大阪の個室ビデオ店で放火事件が起き、16名の方が亡くなられた。いまだにお一人の方の身元が分かっていないそうだ(10月19日当時)。「個室ビデオ店難民」なんていう言葉も新聞の見出しに出たけれども、16名のうちのかなりの方々が、そういった場所で生活せざるをえなかった人たちだ。この事件を受け、10月3日には石原都知事が記者会見で、「山谷では200円、300円で泊まれる宿がある」という発言を行った。どういう文脈でなされたかというと、大阪の事件を格差の問題に結び付けないでくれといいうことを彼は言いたかった。まさにミスター自己責任論だ。ネットカフェなどに泊まるのは「ファッション」で暮らしているのであり、安い宿はいくらでもあるのだから、そちらに行けばいいではないかという趣旨の発言だ。彼の山谷に対する認識は、『太陽の季節』から変わってないようだ。200円、300円で泊まれる宿というのは明らかな事実誤認で、私たちの抗議もあって撤回されたが、「ファッション」については撤回しなかった。
 こうしたネットカフェ難民、個室ビデオ店、スマイルサービス、野宿を余儀なくされている仲間といった問題は、貧困ゆえに居住権が侵害されやすい「ハウジングプア」(住まいの貧困)という問題である。これらを個々バラバラの問題として捉えるのではなく、ひと連なりの問題であるということを訴えていく必要がある。
 ワーキングプアの問題とハウジングプアの問題は90年代以降、パラレルで進行してきた。ワーキングプアの問題で言えば、1999年に派遣業法の業種が拡大され、住まいの問題では2000年に定期借家契約が導入された。政府の規制緩和によりビジネスチャンスがあるということで、貧困ビジネスが入ってくるという状況が生まれた。それが労働の場合では、グッドウィルに象徴される派遣会社であり、住まいの問題で言えば、スマイルサービスなどの悪質業者である。
 また、住まいの問題としては、2002、3年ころから広がってきた家賃保証会社の問題がある。ある意味では、お金を払えば保証をやってくれるということで入居しやすくなったという点もなきにしもあらずだが、一方で退去を迫られ、居住権が侵害されるケースが非常に増えているのではないか。通常の賃貸借契約は借地借家法で守られているので、1、2ヶ月の家賃滞納で追い出されることがあってはならない。しかし、保証会社が入っていることで、保証会社が居住者に代わって家賃の代位弁済を行い、その上で居住者に対して取り立てや追い出しをしている。
 保証会社の中には、「フォーシーズ」という会社が悪質で有名だが、HPを見ると「独自の債権回収ノウハウ」を持っていると謳っている。つまりは取り立て屋だ。こういった会社が大家に代わって取り立てを行い、たとえば、1、2ヶ月滞納しただけで延滞金や保証会社の人間がアパートへ出向いたことの出張料を徴収している。大家に代わって居住者を追い出している。保証会社が広がったことによって、ホームレス化への圧力が強まったと言えるのではないか。
 住まいと労働は生活の両輪であり、ぜひこれから住まいの貧困という問題をもっと訴えていって、次の機会には労働分科会に負けないくらい、住まい分科会を盛り上げていきたい。

【10.19住まい分科会】鈴木俊志さん(「国内保証援助会」被害者、なかまユニオン)

鈴木俊志さん(「国内保証援助会」被害者、なかまユニオン)
 保証人代行詐欺が、日本中の部屋を借りるとか、就職に必要だが保証人がいないといったネットカフェ難民などの貧困層を食いものにして、被害が拡大している。インターネットのgoogle検索でトップに来る保証人代行業者である「国内保証援助会」を例に保証人代行ビジネスがどういったものかを説明する。保証人が必要な者同士を付き合わせ、会費と手数料を徴収し、保証人に連帯責任が及んだ場合は、保証人代行業者が代位弁済をするので100%リスクはないと謳っている。保証人になった者は業者から5000円をもらえて、保証人を得たものは業者に5万円を支払うというシステム。
 しかし、実際に保証人を立てられない事情のある者同士を引き合わせたところで、保証人としての資質がもてるわけもなく、保証人も紹介されず年会費5万円の掛け捨てとなる。中には、解約に手数料を取られたとか、無事に保証人が見つかったとしても、成功報酬として30万円を請求されたといった報告もある。このような少額被害が主だが、中には家賃を滞納したまま逃げられた方の連帯保証人として、家主から数百万円を請求されるといった例もある。
 保証人代行業者は代位弁済で100%安心と謳っているにも関わらず、これまで実際に代位弁済が行われたという記録はない。
 最近、ネットカフェ難民に対して、職業訓練の受講を条件に生活費15万円/月を融資するというニュースが発表直後から話題になった。私もこれに挑戦しようとおもったのだが、過去1年にさかのぼって年収150万円以下の受講者は返済が免除されるため、実質的には勉強しながらただでお金がもらえるという職業訓練制度。
 どういった人たちが具体的にネットカフェ難民と認定されて、給付を得られるかと調べた。東京、大阪、愛知にあるネットカフェ難民の駆け込み寺、、国のNPO救済機関であるチャレンジネットに希望者本人が赴き、収入の有無などが提出書類でチェックされ、ネットカフェ難民と判断されればハローワークに取り次ぎ、きちんとした住まいを借りることを条件に訓練校への入校指示、そして給付となるようだ。
 ここで関門となるのがネットカフェ難民が自分で住まいを見つけなければならないということ。ここで保証人不要のゼロゼロ物件を探せばスマイルサービスのような被害があるが、一方で保証人を立てて自分で住宅を借りようとした場合に、保証人代行詐欺に遭うケースがある。これについてチャレンジネットでは、保証人を探している方のために、家を借りる際の保証人を手配しているとホームページで宣伝しているので、掘り下げて聞いてみた。当初は、東京チャレンジネットで安心できる保証会社を紹介するので大丈夫といった対応だった。しかし、具体的に保証会社をどの程度把握しているのか質問すると、住宅を借りる際に保証人がいないという相談には保証人を代行してくれる会社があるらしいので、それぞれ自己責任でインターネットなどで調べて連絡を取ってもらうという対応をしていることがわかった。
 チャレンジネットでは紹介する保証人会社のリストなどを作成しておらず、保証人会社が優良か悪質かそういった情報も得ていない。チャレンジネットで賃貸物件を借りる人が保証人会社を利用する際、利用者がどこの保証人会社を利用したかも把握していない、と回答があった。国の救済機関が、名ばかりの悪質な保証人会社に実質的に丸投げしている状態だった。
 職業訓練制度も、ものによってはわずか3ヶ月の座学で教科書12冊、金額にして10間円もの教本を売りつけたりしており、実際に訓練内で消化できるのは1.2冊だ。他にも、受講生10人のところ300人と水増しして補助金を詐取するなど、訓練校にも問題が山済みだ。
 いまはっきりしている危機は、この職業訓練制度を利用しようとしている大勢のネットカフェ難民が、これからチャレンジネットを訪れ、多くの人が保証人代行業者を利用してその被害に遭う可能性があるということ。
 私のこれまでの活動で、「国内保証援助会」で情報開示をかけたところ、国民生活センターに600万もの被害が寄せられていた。他にも新聞に載ったり、自分で小額訴訟をやり、勝訴したという経験がある。
 貧困を抜け出すために家を借りる、就職の際に必要だけど保証人が見つからないという貧困層をターゲットにした保証人代行被害が、こんなにも蔓延しているのが許せず活動している過程で、保証人不要の住まいを選択して被害に遭ったスマイルサービスの方たちを知り合い、この問題を広くアピールする場を与えてもらった。
 それから、私の所に、昨日も相談のメールが来た。青森のライフリカバリー社の被害事例で、保証人になったけれども会社が代位弁済がされない、そのため自己破産を迫られているといった内容。保証人代行業者に代位弁済をしてもらえないかと弁護士に相談したが、無理といわれたということだ。
 私は偽装請負を告発する非正規ネットのメンバーで、なかまユニオンに所属し、派遣先より雇い止めを受け、職場復帰に向けての署名活動をしている。ワーキングプアでありながら、ハウジングプアでもあり、先日、スマイルサービスの部屋を借りようとしたところ、審査で落とされてしまった。
 こういった現場の声をもっと広めていきたいと思う。

【10.19住まい分科会】椛木さん(しんぐるまざぁず・ふぉーらむ(会員・当事者))

椛木さん(しんぐるまざぁず・ふぉーらむ(会員・当事者))
 私は「しんぐるまざぁず・ふぉーらむ」の会員で、5年前に離婚し、小2、小4の娘を持つシングルマザー。湯浅誠さんがよく使う言葉に「人間的な溜め」というものがあるが、私の場合「家族の溜め」がない。前夫に借金されようが暴力を振るわれようが、いつでも帰っていいよという実家ではない。離婚から現在に至るまで、親子で4回の引っ越しをした。
 1度目の引っ越しは離婚のための別居で、2003年3月に家付きの仕事を探し親子で引っ越しをした。雇い主は事情を理解していたにも関わらず、こちらに非がないのに2ヶ月で解雇された。当然寮はでなければならず、2003年5月に急いで2度目の引っ越しをすることになった。当時は地方にいて、部屋探しもしたがなかなか見つからなくて、東京に友人がいたので東京に引っ越しをすることにした。時間もなかったので引っ越し業者に4日後に荷物が届くプランを契約してそのまま上京し、その間に何軒も不動産屋を探すという方法だった。その際、不動産業者から保証人は40歳過ぎの男性の方がいいんですよねとか、子連れだと2DK以上の物件がいいとか言われた。
 2004年1月に3度目の引っ越しをした。仕事の無理がたたって病気になり、生活保護を申請した。家賃が生活保護の住宅扶助以上だったのでそこは出てもらわねばならないと区から指導され、半ば強制的に引っ越しをさせられて、同じ区内の母子生活支援施設に入った。苦労してやっと借りたアパートを強制的に出ていかなくてはならないうえに、行きたくなかった母子生活支援施設、通称母子寮に見学や医者の検査までさせられ、気が進まないという意思も無視されて入所が決まった。入所理由としてケースワーカーから言われたことは、生活保護を受けることと、住宅扶助以下の物件に引っ越してもいいが自分では探せないでしょ、ということだった。確かに当時の自分には土地勘も判断力もなかったので、仕方なくそこに入った。
 その後、休職して病気から回復したので、母子寮から出て民間のアパートを借りたいとケースワーカーに相談したが、都営住宅はいいが民間アパートはだめと言われた。ずっとここにいなければならないの?と思い、こんなところにはずっといたくないと思った。都営住宅に応募したけれども、あっさり落ちてしまった。このまま一生出られない気がしたので、民間のアパートを自力で契約して2004年8月に出た。これが4回目の引っ越しで、現在にいたっている。
 後から調べて分かったことだが、ケースワーカーからの指導は本当は自分たちの都合がいいように言っていただけだった。民間のアパートを借りてはいけないのではなくて、他の区に移るとケースワーカーが他区におうかがいを立てるのが嫌だっただけだし、どうしても母子寮に入らなければならないといったわけではなかった。知識がなかったことで、大分損をしたと今は感じている。
 母子寮といってもどういうところか分からないかと思うので、簡単に説明をする。外観は、門がとても広く、鉄でできた大きな門構えで、学校や児童館といったつくり。玄関を入ると職員が机を置く事務所のような詰所があり、玄関の出入り時間も監視され、郵便物の受け取りもそこで行うためプライベートはない。各部屋には呼び出し専用の電話機があるだけで、発信はできない。お風呂はなくて各部屋に簡単なキッチンとトイレが付いている。門限は22時で銭湯などでぎりぎりになると鉄格子の門が閉まってしまって、中に電話しないと入れてもらえない。シャワー室は1つだけあるが申告記入制で、45分以内にシャワー室の掃除を終え、室内のしずくをすべてふき取って出なければいけないというシステムだったので、ほとんど利用しなかった。
 強制的に引越しをさせられたせいで、子供の保育園の距離が2倍になるなど、銭湯通いや買い物などでいつも門限ぎりぎりで帰らなければならず、私にとってはつらい時期だった。

【10.19住まい分科会】鈴木卓郎さん(精神障害者地域生活支援とうきょう会議)

鈴木卓郎さん(精神障害者地域生活支援とうきょう会議)
 私は日本では「精神障害」といわれる障害をもっている方の支援をしている。グループホームという精神障害者の方たちが生活する居住施設で働いている。
 日本は先進国の中では突出した数の精神科病院と病床数を持っている。精神科の医療には、精神保健福祉法で規定された入院形態として、本人の同意がなくとも入院させることのできる制度がある。措置入院は、自傷他害のおそれがある場合に精神保健指定医の診断に基づいて都道府県知事が決定を下す。また、医療保護入院は、精神保健指定医の診断に家族などの保護者が同意をすれば、入院させることができる制度である。治療上必要と判断される場合に適用される目的の制度ではあるが、本人意思不在で入院させることができるという意味で、日本は精神科病院への「強制収容」システムを持った国だということができる。
 そして、この入院医療が長引くことによって、日本の精神科病院には20年、30年、長い方だと50年くらい、病院から一度も地域に退院することなく、ずっと入院しっぱなしで生活している方がたくさんいる。東京でも青梅や八王子には民間の精神科単科病院がたくさんある。中には、いまだに窓に鉄格子が入っていたり、病室がベッドではなく畳の上に布団を敷いて寝るようなところもある。
 グループホームは、長期にわたって精神科への入院を余儀なくされてきた方たちが、退院して地域での当たり前の暮らしをスタートするための場所として、一般のアパートを住まいの場として借り上げ、国や東京都からの補助金によって運営している。ただし、いつまでもグループホームで住んでいられるわけではなく、都内ではほとんどのグループホームが概ね3年くらいの間に普通のアパートに移って行くことを支援しているという現状がある。そのとき、精神障害者の方たちも、新たな住まいを見つける上で様々な困難に直面する。
 一つは、長期に渡って入院されていると、家族や親類の方との関係性が非常に希薄になっている方が多く、場合によってはまったく身寄りがいないということもある。したがって、アパートを借りる際の保証人が見つからないという方が多くいらっしゃる。
 その上に、精神障害をもっていること自体がネックになる。不動産屋に生活保護を受けていることを話して部屋を紹介してもらおうとすると、時にはなぜ働けないのかと聞かれることがある。そのとき、精神科に通院していると正直に話せば、大家さんからは断られてしまうことがよくある。「精神障害者に部屋を貸したことがないから」という理由をいわれることがあるが、言外に何かトラブルを起こすのではないかといった偏見を感じざるを得ない。住まいを確保するという当然の権利が、このような社会的偏見と差別によって脅かされている。
 障害を持っている方に限ったことではないが、部屋を借りるのに連帯保証人が必要という制度そのものが普遍的な住まいの権利を侵害するものではないかと思う。親族や友人などが当たり前にいる人たちにとってはあまり意識しないことでも、そこからすこしでも外れてしまうと、あっという間に部屋を借りることすら難しくなるというこの現実が問題ではないか。障害者の方や、貧困に直面している方は、大多数が当たり前だと思っていることからすこし外れてしまっただけで、生存権が脅かされる。そのような状況をいつまでものそのままにしておいていいのだろうか。基本的な問題として、まずは連帯保証人を必要とする賃貸契約の仕組みを改める必要がある。
 障害者であるが故の住まいにかかわる差別をなくしたい。それから、保証人なんていなくても部屋を貸せ、と声を大にしてみなさんと考えていきたい。

【10.19住まい分科会】横山晃久さん(車椅子利用者、自立生活センターHANDS世田谷)

横山晃久さん(車椅子利用者、自立生活センターHANDS世田谷)
 まず、この集会は画期的な集会だと思う。障害者の自立生活で住宅、介助、年金という3つの補助が必要といわれていた。
 私の経験を言うと、住宅に関して、絶対地域で住みたいと思っていて、都営住宅だとか民間のアパートを探した。ところが、民間アパートは2つの壁がある。1つは大家さん。最近は私たちもやっと人間扱いされるようになった。ただ、以前は障害者差別が圧倒的に強かったので、私が行くと不動産屋で門前払いされた。「うちでは障害者には貸さないよ」とか、ほんとに人間扱いされなかった。たまたまいい不動産屋が見つかって部屋を紹介されても、大家さんから障害者には貸しませんと言われたこともある。
 2つ目は生活保護。やっと借りることになっても、川西さんが言ったように、今度は大家も不動産やも生活保護のことを全然理解していない。一から説明するのに、3日かかる。でも、日常的に介助者がいなければ、私たちは排泄もできない。ご飯も食べられない。お風呂にも入れない。
 重度障害者になるほど人間扱いされず、私たちが普通に生活できるというのだが、周りが認めてくれない。どうしてもまだまだ障害者差別が残っている。
 なぜこの集会に参加したかというと、みんな弱者だ。これまでは障害者が弱者と言われていたが、いまやみなさんが弱者だ。障害者運動で一番大事なのは自己主張だ。私たちは自己主張を40年前からしてきた。自己主張しなければなにも変わらない、ということを私の先輩方がずっと私に教えてくれた。やっとみんなも自己主張できてきたなと思う。みんなが自己主張して世の中を変えていけばいい。障害者が暮らせるいい社会はみんなが暮らせる社会だ。声を大にしてみなさん頑張っていきましょう!

【10.19住まい分科会】川西浩之さん(車椅子利用者、個人)

川西浩之さん(車椅子利用者、個人)
 世田谷で車椅子を利用し、生活保護を受けてホームヘルバーを入れた一人暮らしをしている。今年で9年目に入る。今日は、私の自立生活を始めたきっかけを話しながら、住宅を借りるときの問題点を話したい。
 私が自立生活を始めたきっかけというのは、当時、車椅子の障害当事者が外出しやすいように路線バスに乗せる活動をしていた。その活動には働いている方や健常者もいたので、会議は夜の7時から10時半まで近くの福祉センターで会議があった。そうすると、家に帰る時間が遅くなった。当時、自分の両親の年齢は65歳前後だった。そのときは自分も杖をついて歩いていたけれども、活動するときに集団行動すると遅くなってしまうので車椅子に乗ることにした。歩けないに等しかったので、入浴介助が必要だった。夜の11時12時になってしまうと、親も「なんで早く帰ってこないんだ、ばか!」って怒られた。そういうことの連続だった。これでは、障害者のための活動ができなくなってしまうと思い、なんとかしなくてはと思うようになった。
 そんな状況を心配して隣にいる横山さん(自立生活センターHANDS世田谷)から、一人暮らししてみないかと提案された。当時、世田谷区で自立生活体験室という障害者を対象にした1年限定の制度があったので、1年間入るつもりで入所した。そこで、介助者の募集の仕方とか介助者の給料の支払い方といったことを勉強していった。「体験室」といっても所詮施設であって、門限がある。夜10時くらいを過ぎると職員に「もっとお前早く帰ってこないか」と怒鳴られて、やっぱり施設は施設なんだなと思った。早く出たいと思うようになり、ヘルパーと相談して出ることに決めた。結局、6ヶ月後にこの施設を出た。
 そこで家探しをすることになった。それまでにいた体験室はとても立派な施設で、1Kの鉄筋コンクリート建てだったので、民間の賃貸住宅について全然イメージがつかなかった。それで、すでに民間の部屋に住んでいる障害者仲間の部屋を見せてもらい、住宅改造についての理解も深めていった。それから、不動産屋の折り込みチラシを見ても広さが分からなかったので、1畳というのは畳1枚分の広さのことで、体験室にあった和室の畳を数えて、6畳というのはこれくらいの広さなのだということを勉強していった。
 家探しにあたっては次の点にポイントを置いた。
 1.手動の車椅子で過ごすということ。
 2.京王線の沿線に住むということ。
 そこで、不動産屋を回ったが、不動産屋には24時間介助者が入るので安心してほしいということ、住宅改造(たとえばスロープや専用通路、ウォシュレットなど)を設置しても元に戻すということを説明した。そういったことを説明しても、業者からは「うちにはそんな物件はない」「世田谷区に相談に行け」とか、「障害者が住みたいのは分かるが、以前原状復帰でトラブルになったことがあり大家が嫌になってしまったので貸したくない」と言われた。そういった理由で貸さないという業者がほとんどだった。
 仲間と一緒に20件近くの不動産屋を回ったが、物件を見せてくれたのはたったの2.3件だった。本当は今使っている電動車椅子で過ごしたかったが、床が薄くて重量が耐えられないということで諦めた。
 現在の私の部屋を借りようとした際、ある不動産屋に行って、事前にヘルパーに説明してもらった。家賃については、福祉事務所から支払のことを話してもらった。当初、親の名義でないと貸さないといわれたが、家賃は公費で69800円まで出るが本人名義ではないと補助金がでないから本人名義にしてくれと説得したところ、借りることができた。
 住宅改造をすることは後で不動産屋に話した。どんな改造が必要かということを福祉用具店の方に一筆書いてもらったお陰で住宅改造ができた。改造の内容は、電動ベッドが1台、浴場にはシャワーチェアとすのこ1台、トイレには手すり5本とウォシュレット、全部合わせて30万円相当の住宅改造費が都から助成金として出た。
 次に、行政の住まいに関する障害者福祉についての問題点を述べる。
 1つ目は、家賃扶助が69800円と低い。私のアパートの家賃は82000円だが、借りる場合には、住宅扶助基準額を満たしていることを示すため福祉事務所に提出する書類と、本人への請求書である82000円の書類を作ってもらう必要がある。この2つの書類を不動産屋に作成してもらう方法をとると、行政に提出する正式な書類が69800円と基準額以内となり、早く家賃の安い家に引っ越ししなさいと言われなくてすむので、気持ち的に楽になる。
 こういったことを頼むと不動産屋に嫌われてしまうのではと思い、そこまで話す自信がなくて、現状のまま82000円だと福祉事務所には言ってある。福祉事務所は、早く出ろ、早く出ろと言ってきたが、私は福祉制度がないと生活ができないんだと、福祉制度は市区町村によって全然違うのだし、もし扶助がないところに移動することになれば自分は生活できない、生まれた町である世田谷で生活できるようにしたいんだと、主張して転宅指導を取りやめてもらった。
 2つ目は、住宅改造の修理費が十分でない問題。生活保護制度でも、重度障害者の場合は、浴槽が壊れた場合は生活保護費から出していいことになっているが、その他の修理費についてはなにも明記されていない。浴槽の修理以外にはなにも出さないことになるのではないかと思うので、これはおかしい。
 3つ目は、私達は身体機能の低下もあり、このまま年を取ると体力が早く衰えるので、手すりを増やしたり、スロープの増設等の予算が認められなければならない。ウォシュレットや電動ベッドの修理費なども。これらは、今のところ、生活保護費や身体障害者住宅改造費の部分からも支給されていない。
 4つ目は、体の不自由な方が電動車椅子で過ごすということを認めていない。ありのままの姿を認めようとしない施策が、非常に問題だと思っている。車椅子に乗るように体が悪くなってもなっても自信を持って生活していかねばならないのに、車椅子の人はみっともない姿であって、車椅子になることは悪いことなんだと、障害が重くなることは悪いことなんだと、そういうイメージを払拭していかなければ、住宅問題は解決しない。できないということは、恥ずかしいことではまったくない。できなければヘルパーとか周りの方に遠慮なく頼んでいい。ヘルパーを雇うことは新たな雇用を生み出すことにもなる。
 生まれてきたこのありのままの姿で、生きていけることが、生存権、居住権のはじまりになっていくのではないかと思う。

【10.19住まい分科会】戸舘圭之さん(弁護士、スマイルサービス被害対策弁護団事務局長)

戸舘圭之さん(弁護士、スマイルサービス被害対策弁護団事務局長)
 土田さんの話からもありましたが、10月8日にスマイルサービスに対し、損害賠償請求を起こしました。スマイルサービス被害対策弁護団の事務局長をしている。スマイルサービスの問題を含め、貧困層の居住利益を著しく侵害する事態が広がっていることをこの事件を通じて初めて知った。草間さんから報告があった東京都の3,000円アパート裁判でも代理人になっている。居住権に絡む問題として、新宿を相手にホームレス状態にある方が生活保護を求めて申請したのだが、稼働能力を活用していないとして却下された新宿区のホームレス生活保護申請に関する裁判でも弁護活動をしている。
 あと、第2種社会福祉事業施設であるさくらハウスで2008年1月に起きた殺人事件でも弁護人をしている。これは、1月1日、居住者の方が突然、寮長から退寮宣告を受け追い出され、やむを得ず寮長を刺してしまったという大変不幸な事件。
 第2種社会福祉事業施設は極めて劣悪な施設で、生活保護を受けている元は野宿者の方を受け入れている。さくらハウス事件はそういう社会的背景のある事件だと思っている。
 このように最近は特に、貧困層を対象にしたビジネスを含めて、様々な形で居住の利益が侵害されている。
 スマイルサービス事件では、いきなり鍵を交換され、ひどい場合には荷物を撤去される方やそのまま廃棄される方もいた。安心してプライバシーが確保されて、家に帰れば鍵を閉めてゆっくり眠ることができるという、ごく当たり前の利益が脅かされるという異常な事態をスマイルサービスは行っている。
 ただ単に1回だけ鍵を交換されたのではないかとか、荷物も返してもらったらいいのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれないが、一度自分が知らない間に鍵を交換され、知らない人間に立ち入られるということが、どれだけ住んでいる人に心に傷を残すことなのか。基本的には一人の部屋でプライバシーが守られている中で、安心して誰からも干渉されることのなく過ごせる部屋というのが、最低限の我々が生活していくための権利だと思う。そのような権利が一度でも侵害されたら、その住居には安心して住むことができない。常に家賃の滞納の恐怖、1日でも滞納したら鍵を交換されて数日間はネットカフェで暮らさざるを得ない。そのままネットカフェ暮らしを余儀なくされたり、野宿生活を余儀なくされる。そういうことを貧困ビジネスは行っていて、スマイルサービスの被害を知る中で、私自身法律家としてもなんとかしなければいけないと認識するようになりました。
 最近になって定期借家制度をスマイルサービスも利用し始めた。3,000円アパートでは東京都がだまし討ちのような形で導入している。3,000円アパートの案内のビラには「(更新もあります)」と明記されているにも関わらず、ふたを開けてみれば定期建物賃貸借契約だったという無茶苦茶なやり方をしている。
 それ以外にも別件の相談だが、気づいたら定期建物賃貸借契約を締結していたということがあった。自分としては普通にアパートを借りて更新もされるつもりだったが、契約書を見せてくださいと言ったら定期建物賃貸借契約と書いてあった。だけども、契約の段階では一切説明もなく、何も問題なければ住み続けられますよと言われていた。そこが定期借家契約の重要な落とし穴だが、更新は一切にないのだが、大家に気に入られるような借主であれば住み続けることができる。そうでなければ、正当事由もなしに再契約をすることは拒否される。そのような非常に恐ろしい契約であるにも関わらず、契約段階では一切説明がない。たいていの場合、契約書にそのようなことが書かれてあったとしても、私だってそうだが、なにも見ずに署名してハンコを押してしまうのが一般に契約だと思う。そういった弱い立場にある消費者や借主に対して、スマイルサービスも「契約書に書かれているのだからなにも文句言えないのでは?」「家賃を滞納しているお前が悪いんじゃないか」といういわゆる自己責任論で切って捨ててくる。そこには、どうして家賃が払えなくなってしまったのかとか、どういう働き方をして収入を得ているのか、追い出されてしまったら最低限保証されるべき居住の利益が奪われてしまうという事に対する配慮の視点が一切抜けている。
 そういう無理強いをしているのが定期建物賃貸借契約であり、鍵の一時使用契約というわけのわからん契約で鍵を勝手に交換したり荷物を撤去していたスマイルサービスなんだと思う。
 住まいの問題で反貧困の運動がつながっていけることを、私自身は非常に意義深いことだと考えている。

【10.19住まい分科会】細谷紫朗さん(東京借地借家人組合連合会)

細谷紫朗さん(東京借地借家人組合連合会)
 「借地借家法」は居住の安定を図るのが目的として大正10年に作られた法律。昭和16年に正当事由制度が導入され、戦争中戦後に住宅事情が悪化するなかで、居住の安定を保護するために制定されたもの。居住の安定を保護するべき借地借家法が改悪され、「定期借家制度」が2000年3月1日から導入され、貧困ビジネスに活用されているという事実に大変驚きをもっている。
 定期借家制度では、契約期間が満了すると無条件に借家の明け渡しをしなければならないという借家人にとっては大変過酷な借家制度だ。大家は1年以上の契約であれば、1年前から半年前までの間に明渡しを通告すれば、なんの理由がなくても借家人は無条件借家を出なければならない。
 定期借家制度は、2000年の導入時、不動産業界の非常に大きな圧力で、政官財と一部マスコミも含めて定期借家制度はいい制度ではないかと大宣伝して導入された経緯がある。たとえば、定期借家制度になれば、「良質な借家の供給が増える」「家賃が安くなる」「借家人の利益を増進させる」「借家市場の活性化」「住宅福祉の促進」などと宣伝された。
 98年、借地借家法の改正が法務委員会で審議されていたが1年間まったく審議されず、「良質な賃貸住宅等の供給促進に関する特別措置法」という長いわけのわからない名前で建設委員会にかけられた。
 借地借家法の改正を法務委員会ではなく建設委員会にかけるという、国会のルールを無視したやり方で制定されてしまった。その当時、不動産業界は約2億3千万円を政治家に献金したと聞いている。そのように無理やり導入された制度である。
 この特別措置法には、「良質な賃貸住宅等の供給促進」という名目があり、公共賃貸住宅や良質な賃貸住宅の供給、それから定期借家制度を導入させるという2つの目的がある。しかし、「良質な賃貸住宅の供給」はすべて努力義務とされている。当時も相当批判されていたが、結局、努力義務しか書かれていない。
 実際、制度導入から8年経つが、「良質な賃貸住宅の供給」が促進されたのかどうかが問われる。総務省の平成15年の調査でファミリー向けの賃貸住宅ストックが現在でも168万戸不足していることが明らかになった。民営借家というのは持家の平均の床面積の3分の1しかない。欧米では7割くらい。これからわかるように日本の借家は、非常に狭い劣悪な借家事情は何ら改善されていない。
 それに、公共住宅を促進させるというが、この8年間で東京都で都営住宅の新規建設はゼロ。2006年の5月、都営住宅の入居募集は57.4倍に増えている。6年間に都営住宅の応募倍率は4倍も急上昇している。住宅事情はさらに悪化しているのは明らかだ。
 公営住宅だけなく、公団住宅(機構住宅)も削減、売却されようとしている。公社住宅も民営化を進めている。公共賃貸住宅の供給はどんどん後退しているのが現実。法律にあるように努力するどころか、むしろ悪くしているのがこれまでのやり方。
 そのような意味で、定期借家制度を導入した「良質な賃貸住宅等の供給促進に関する特別措置法」といのはまったくインチキな法律でしかない。
 定期借家契約が実際に普及しているのか、国交省が2007年3月に調査したところ、定期借家制度の普及率はわずか5%。4年前に調査したところ4.7%だった。この3年間で0.3%しか定期借家制度は普及していない。なぜ普及しないのかを事業者に調査したところ、賃借人にとって魅力がなく空き家になる可能性があるというのが45%、普通借家契約で特段の不都合はないというのが44%、審査が厳格であれば普通借家契約でトラブルを回避できるというのが22.8%、などの理由を挙げている。不動産屋も定期借家制度に魅力を感じていない。
 特別措置法の4条には施行後4年後に見直しをするという条項があるが、2004年には見直しをしなければいけない規定になっているが見直しもできない状況。定期借家制度はまったく普及されていない。借家人からも不動産業者からも家主からも見放されている制度だ。
 しかし、この定期借家制度をもっと普及させようという考えが一方である。不動産業界は定期借家制度が普及しない原因はいまの定期借家制度に問題があるんだとしている。2000年3月以前に普通借家契約をした場合、定期借家契約に切り替えることはできないが、それを可能にしようという動きがある。たとえば、契約の更新の際に、大家から少し家賃を下げるから定期借家契約に切り替えましょうかといわれ、それに応じてしまえば、切り替えができる制度にすれば、もっと定期借家制度が促進されるとしている。言い方をかえれば、借家人の追い出しを促進させるために定期借家制度を普及させよう、ということ。
 たとえば、「定期借家推進協議会」はひどいことを言っていて、正当事由制度(借家の明け渡しに正当な理由を求める制度で、貸主の都合だけで明け渡しはできない)を廃止し、定期借家制度一本にすべきと主張している。
 ゼロゼロ物件に象徴されるように、定期借家制度は、本来の目的である良質な賃貸住宅の供給とは無縁で、借家人を追い出し、貧困ビジネスを助長する制度である。こんな制度は、廃止させなければならないという世論を作りあげ、借地借家法の改悪を阻止するために、みなさんと一緒に運動していきたい。

【10.19住まい分科会】草間幸彦さん(「ホームレス地域生活移行支援事業裁判」を支える会)

草間幸彦さん(「ホームレス地域生活移行支援事業裁判」を支える会)
 普段は、東京東部で、野宿している人、野宿から脱した方々の支援などに携わっている。今日は、「ホームレス地域生活移行支援事業裁判」を支える会として報告する。
 2004年から東京の23区で、野宿されている方を対象として「ホームレス地域生活移行支援事業」が行われている。これまでに1500人以上の方々が野宿からアパートへ入居している。その提供されるアパートの契約が、実は普通のアパート契約ではなくて、期間が限定された定期借家契約だった。しかし、入居者からは「そんなことは聞いていなかった」「説明が足りていなかったのでは?」という声があり、事業を使われた方々が原告となり、裁判を行っている。
 この事業は、特定の公園で野宿していた方だけに、月額約3,000円の低家賃で2年間、都が借り上げた民間アパートなどの部屋を貸すという事業。野宿している方々は基本的に普通の住まいに暮らしたいという願いを持っている方が多いので、中には、入居後の先が見えないけれども、頑張ってみようと事業を使った方もいらっしゃった。けれども、後で戸叶さんからも報告があるかと思うが、追い出しとセットになる形で、公園や河川敷から出ていくか、この事業を使ってアパートに入るかという二者択一を強制的に迫られた方もいた。
 普通の賃貸借契約では、更新が前提とされ、よほど借主に落ち度がなければ、契約期間が終了しても、契約を更新することができる。ところが、この「支援事業」の契約は、契約期間の2年間が過ぎると、更新はなく自動的に終了する「定期借家契約」だった。さらに、事業開始時には「更新もあり」という触れ込みで、あたかも普通借家契約であるかのような説明で、事業の利用を促すということが行われてしまっていた。
 この間、この事業を使われた方々が、アパートに入った後にいろんな生活上の困難に直面した際に、問題を共有し合いながら乗り越えていこうという集まりを、継続して3年間ほど、月2回のペースでもってきた。その中で、実際に事業を使った利用者から、「2年で契約が終わる」という通知がきて、「どういうことなんだ」と戸惑ったり、不安に思って相談を持ちかけられたりといったことがあった。そういった事情で、提訴に踏み切らざるを得なかった。
 これまでのところ、普通の契約に切り替えるといった形でなんとかアパートの生活を守りぬいている方もいらっしゃる。とはいえ、借りる側に不利な定期借家契約を、住宅を確保するのが一番大変な状況にある野宿している方々に対して、他に選びようがない形で押しつけるというやり方はおかしいんじゃないか、という意味もあり裁判をやっている。
 しかも、一般の契約や民間の借家ではなくて、公的な住宅政策において、低所得な方、収入が全然ない方を対象にして、定期借家契約を持ち込むことが本当に正しいことなのか、ということに対して非常に疑問に思っている。
 この事業の他に、住宅の確保に苦労している方々がおかれている状況においても、定期借家契約が普及しているという現状に対して、どのような形で変えていくことができるのか、どういう形で社会に訴えていくことができるのか、この場でも共有していきたい。

【10.19住まい分科会】土田政彦さん(スマイルサービス事件裁判原告)

土田政彦さん(スマイルサービス事件裁判原告)
 山形の田舎から2年半ほど前に出てきた。一番最初に働き始めたところが、自動車工場関係の派遣会社だった。そこで寮の住み込みという形で働いていた。10か月ほど働いたのちに辞めるということになったが、貯えがなかった。辞めると寮を出ていかねばならなかったが、他に住む場所を探すといっても貯えがなかったので、敷金礼金も払える状態ではなかった。敷金・礼金ゼロの部屋を探し、不動産屋をまわっていた。新宿の不動産屋に行って、安く抑える方法はないかと相談したところ、家賃と諸費用3万円で入れるとスマイルサービスを紹介された。
 住み始めたころは、自動車工場とは違う派遣会社で働いていた。給料の支払いが家賃納付日の1ヵ月後。スマイルサービスの店頭に出向き、家賃が遅れると説明した。すると、施設再利用料15,750円と、家賃の10%を徴収された。普通の不動産屋ではあり得ない話だ。
 1回目を支払って2ヵ月後、また家賃の振り込みが遅れた。ある日、仕事から帰宅してみると、部屋のカギが開かない。なんでだろうと思ったら、ドアの隙間にB5サイズの紙が挟まっていた。「鍵を交換しました」という内容の紙だった。翌日、店に電話をしたところ、「家賃が支払われていないので、鍵を交換しました」と言われた。新しい鍵を受け取るためには店に行き、先ほどの違約金を支払わねばならなかった。
 1年6、7ヶ月住んでいたが、14回ほど、カギの交換および業者による無断立ち入りを受けた。就寝中に入り込まれ、追い出されたこともあった。
 現在は、スマイルの物件から出て、別の会社の寮にいま住んでいるが、仕事とリンクしており、なかなか住んだ心地がしない。寮生活というと、はたからみるとほっとしたような感じがあるが、やはり仕事とリンクしているといつ仕事に呼び出されるかとか不安に思ったり、なかなか自分の予定が組めない。会社に常に見られているような感じ。安心した住み心地がしない。できれば、会社と離れたところに住んだ方がよかったのかな、と今になって思っている。
 ゼロゼロ物件は増えていると思うが、スマイルサービスの契約は特殊で施設付鍵利用契約というものだった。通常なら賃貸借契約になるが、借主を保護する借地借家法を脱法するためにそのような特殊な契約システムで運用していた。10月8日に、スマイルサービスを提訴した。これまでに徴収した違約金を返還し被害者に謝罪し、社会に対して違法行為の責任を全うしてほしい。

住まいの貧困に取り組むネットワークの説明

住まいの貧困に取り組むネットワーク、世話人の藤本です。

はじめての記事ということで、住まいの貧困に取り組むネットワークについて簡単に説明いたします。

住まいの貧困に取り組むネットワークは、借家人や野宿者、障害者、シングルマザーの支援者、それから労働組合の組合員、弁護士などから構成されている個人の連合体です。
個人の連合体だけであるとわかりにくいので、世話人会があり、稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長)、坂庭国晴(国民の住まいを守る全国連絡会・代表幹事)、藤本龍介(借家人権利向上委員会)の3人が世話人という役割を担っています。

発足のきっかけは、08年10月19日に明治公園で反貧困ネットワークの主催で行われた「反貧困世直しイッキ!大集会」の住まい分科会で、当分科会参加者を母体として結成されています。
現在までに都内で数回の会議が行われ、住まいの貧困問題に関するそれぞれの参加者の問題意識の共有とそのことの社会化、当事者のエンパワーメントを目的として活動しています。

これまでの活動としては、準備会として、08年12月24日に「住宅セーフティネットの確立を求める緊急アピール」を発表し、政権与党第1党である自民党にクリスマスプレゼントとして寝袋をもっていくというパフォーマンスを行い、09年2月11日には『空いてるじゃん!住まわせてよ! 花畑団地現地ツアー』を行いました。
09年3月14日(土)には14時から大久保地域センターの4階多目的ホールにて『なくそうハウジンブプア 安心できる住まいを 住まいの貧困に取り組むネットワーク設立集会』を行う予定です。当日はデモも予定されています。

今後の活動にご支援ご注目のほどよろしくお願いいたします。

テーマ : 日々出来事
ジャンル : ライフ

プロフィール

housingpoor

Author:housingpoor
住まいの貧困に取り組む個人からなるネットワークです。
賃貸トラブルや生活相談にも応じます。
月に1度程度、都内で会議を開いています。
参加したいというご要望や、賃貸トラブルについてのご相談は
sumainohinkon@gmail.com
までよろしくお願いいたします。

検索フォーム
QRコード
QRコード