「追い出し屋」裁判にて、次々と賃貸人の被害が認定される
8月9日、首都圏追い出し屋対策会議(代表:宇都宮健児弁護士)は弁護士会館で記者会見を開き、「追い出し屋」被害に関する3つの裁判について報告を行いました。
それぞれの裁判の概要は下記のとおりです。
また記者会見では、家賃滞納データベースの禁止と「追い出し屋」規制の実現をめざして、様々な団体で実行委員会を結成し、9月に院内集会を行うことが発表されました。
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1.追い出し行為(施錠行為,荷物撤去)の不法行為責任を認め慰謝料30万円が認容された事例
vsJ・CCO(株),アムスエステート(株)事案,平成22年7月30日判決(東京地裁)
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【事案の概要】
原告が,アムス・エステートから居住用アパートを賃借していたところ,賃貸人から賃料等の収納代行業務の委託を受けたJ・CCOの従業員から賃料の滞納を理由にして賃貸物件の玄関ドアを施錠され,物件内の荷物を撤去されたことから,当該施錠行為及び荷物撤去行為が違法であるとして,アムス・エステート,J・CCO及び各会社の代表取締役に対し,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起した事案。
【裁判所の判断】
被告J・CCO従業員による追い出し行為(物件への無断立ち入り,施錠行為,荷物撤去行為)の事実を認定し,「これらの行為は法律上の手続によらずに原告の本件物件において居住する利益を一方的に奪った違法な行為といわざるを得ない。」と判示し,賃料回収代行業者である被告J・CCOが行った追い出し行為の違法性を明確に認め(賃貸人であるアムス・エステート及び会社の代表者らの責任は否定。),被告J・CCOに対し,慰謝料30万円及び弁護士費用10万円の合計40万円の支払いを命じた。その他,アムス・エステートに対して,敷金15万円の返還を命じた。
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2.追い出し行為(鍵交換)の不法行為責任を認め慰謝料30万円が認容された事例
vs(株)明和(旧スマイルサービス(株))事案,平成22年4月13日判決(東京地裁)
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【事案の概要】
サブリース業者であるスマイルサービスが,家賃の支払いを遅れただけで玄関の鍵交換を行ったことから,当該アパートで居住を続けることが困難と考えた被告がスマイルサービスに無断でアパートに荷物を一部残して退去したところ,約半年後にスマイルサービスが被告に対して建物明渡,未払賃料,賃料相当損害金を請求して本訴を提起したのに対して,被告がスマイルサービスに対して鍵交換が違法であるとして不法行為に基づく損害賠償を請求して反訴を提起した事案。
【裁判所の判断】
本判決は,「原告は,・・・被告が外出中に本件物件の鍵を交換し,被告が本件物件に入れない状態にしたものであるところ,原告のこの行為は,被告の平穏な生活を害する行為として不法行為を構成する」とし,「被告は,原告の不法行為により,帰宅後家に入れずに数日間友人宅やインターネットカフェに泊まることとなり,不安な日々を過ごすこととなり,また,住居に入れなくなることがあるとの不安感を覚えるようになった」として,スマイルサービスに対し,慰謝料30万円と弁護士費用3万円の合計33万円の支払いを命じた。
なお,スマイルサービスは,家賃の支払期日(28日)に支払いができなかったことから,同日,被告との間で,当月末日までに未払賃料を支払うことができなければ,室内の残置物等について廃棄処分することを合意しており,鍵交換は,かかる合意に基づいて行った旨の反論を行っていたが,本判決は,当該合意によって,スマイルサービスの行為の違法性は否定されないとした。
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3.追い出し行為を行った賃貸業者及び管理業者が,法令を遵守した営業を行い,契約書から追い出し行為を容認する旨の条項を削除する旨を約束した和解を行った事例
vs(株)シンエイ,(株)シンエイエステート事案,平成22年4月28日和解
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【事案の概要】
原告が,シンエイが賃貸をし,シンエイエステートが管理する物件を賃借していたところ,1か月ないし2か月の賃料の滞納を理由に,玄関ドアの鍵を交換され,賃貸物件内の荷物をすべて撤去されたことから(荷物の大部分については後日返還されている。),かかる鍵交換及び荷物撤去が違法であるとしてシンエイ,シンエイエステート及び各会社の代表取締役に対し,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起した事案。
【和解の概要】
和解金額については和解内容により口外できないが,和解条項において以下の条項が盛り込まれた。
「被告らは,原告に対し法令を遵守した営業を行い,平成22年7月1日以後に締結する賃貸借契約の際には,①賃貸物件内に立ち入ること(緊急時にやむを得ない場合を除く),賃貸物件の玄関ドアの鍵を交換すること,賃貸物件内の家財,物品等の撤去・処分をすることの権限を賃貸人に付与する旨の条項,②「解約の理由を問わず」賃貸人の損害賠償責任を免除する旨の条項,③違約金,督促手数料等名目の如何を問わず,滞納家賃に対する年14.6%を超える遅延損害金の徴収を定める旨の条項を除いた契約書を使用することを約束する。」
このブログでも再三、取り上げてきたシンエイ、シンエイエステートは、今後、契約書から違法な条項を削除することを確約しました。
本年7月以降に両社で契約をされた方はぜひこの点を確認していただければと思います。
また、両社はこれまで違法に徴収してきた滞納違約金、督促手数料等を速やかに自主返還すべきだと私たちは考えます。
シンエイの物件に居住されたことのある方で、滞納違約金等の項目で遅延損害金を徴収されたことのある方は、内容証明便で返還を求めていきましょう。
それぞれの裁判の概要は下記のとおりです。
また記者会見では、家賃滞納データベースの禁止と「追い出し屋」規制の実現をめざして、様々な団体で実行委員会を結成し、9月に院内集会を行うことが発表されました。
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1.追い出し行為(施錠行為,荷物撤去)の不法行為責任を認め慰謝料30万円が認容された事例
vsJ・CCO(株),アムスエステート(株)事案,平成22年7月30日判決(東京地裁)
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【事案の概要】
原告が,アムス・エステートから居住用アパートを賃借していたところ,賃貸人から賃料等の収納代行業務の委託を受けたJ・CCOの従業員から賃料の滞納を理由にして賃貸物件の玄関ドアを施錠され,物件内の荷物を撤去されたことから,当該施錠行為及び荷物撤去行為が違法であるとして,アムス・エステート,J・CCO及び各会社の代表取締役に対し,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起した事案。
【裁判所の判断】
被告J・CCO従業員による追い出し行為(物件への無断立ち入り,施錠行為,荷物撤去行為)の事実を認定し,「これらの行為は法律上の手続によらずに原告の本件物件において居住する利益を一方的に奪った違法な行為といわざるを得ない。」と判示し,賃料回収代行業者である被告J・CCOが行った追い出し行為の違法性を明確に認め(賃貸人であるアムス・エステート及び会社の代表者らの責任は否定。),被告J・CCOに対し,慰謝料30万円及び弁護士費用10万円の合計40万円の支払いを命じた。その他,アムス・エステートに対して,敷金15万円の返還を命じた。
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2.追い出し行為(鍵交換)の不法行為責任を認め慰謝料30万円が認容された事例
vs(株)明和(旧スマイルサービス(株))事案,平成22年4月13日判決(東京地裁)
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【事案の概要】
サブリース業者であるスマイルサービスが,家賃の支払いを遅れただけで玄関の鍵交換を行ったことから,当該アパートで居住を続けることが困難と考えた被告がスマイルサービスに無断でアパートに荷物を一部残して退去したところ,約半年後にスマイルサービスが被告に対して建物明渡,未払賃料,賃料相当損害金を請求して本訴を提起したのに対して,被告がスマイルサービスに対して鍵交換が違法であるとして不法行為に基づく損害賠償を請求して反訴を提起した事案。
【裁判所の判断】
本判決は,「原告は,・・・被告が外出中に本件物件の鍵を交換し,被告が本件物件に入れない状態にしたものであるところ,原告のこの行為は,被告の平穏な生活を害する行為として不法行為を構成する」とし,「被告は,原告の不法行為により,帰宅後家に入れずに数日間友人宅やインターネットカフェに泊まることとなり,不安な日々を過ごすこととなり,また,住居に入れなくなることがあるとの不安感を覚えるようになった」として,スマイルサービスに対し,慰謝料30万円と弁護士費用3万円の合計33万円の支払いを命じた。
なお,スマイルサービスは,家賃の支払期日(28日)に支払いができなかったことから,同日,被告との間で,当月末日までに未払賃料を支払うことができなければ,室内の残置物等について廃棄処分することを合意しており,鍵交換は,かかる合意に基づいて行った旨の反論を行っていたが,本判決は,当該合意によって,スマイルサービスの行為の違法性は否定されないとした。
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3.追い出し行為を行った賃貸業者及び管理業者が,法令を遵守した営業を行い,契約書から追い出し行為を容認する旨の条項を削除する旨を約束した和解を行った事例
vs(株)シンエイ,(株)シンエイエステート事案,平成22年4月28日和解
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【事案の概要】
原告が,シンエイが賃貸をし,シンエイエステートが管理する物件を賃借していたところ,1か月ないし2か月の賃料の滞納を理由に,玄関ドアの鍵を交換され,賃貸物件内の荷物をすべて撤去されたことから(荷物の大部分については後日返還されている。),かかる鍵交換及び荷物撤去が違法であるとしてシンエイ,シンエイエステート及び各会社の代表取締役に対し,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起した事案。
【和解の概要】
和解金額については和解内容により口外できないが,和解条項において以下の条項が盛り込まれた。
「被告らは,原告に対し法令を遵守した営業を行い,平成22年7月1日以後に締結する賃貸借契約の際には,①賃貸物件内に立ち入ること(緊急時にやむを得ない場合を除く),賃貸物件の玄関ドアの鍵を交換すること,賃貸物件内の家財,物品等の撤去・処分をすることの権限を賃貸人に付与する旨の条項,②「解約の理由を問わず」賃貸人の損害賠償責任を免除する旨の条項,③違約金,督促手数料等名目の如何を問わず,滞納家賃に対する年14.6%を超える遅延損害金の徴収を定める旨の条項を除いた契約書を使用することを約束する。」
このブログでも再三、取り上げてきたシンエイ、シンエイエステートは、今後、契約書から違法な条項を削除することを確約しました。
本年7月以降に両社で契約をされた方はぜひこの点を確認していただければと思います。
また、両社はこれまで違法に徴収してきた滞納違約金、督促手数料等を速やかに自主返還すべきだと私たちは考えます。
シンエイの物件に居住されたことのある方で、滞納違約金等の項目で遅延損害金を徴収されたことのある方は、内容証明便で返還を求めていきましょう。
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