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【10.19住まい分科会】鈴木卓郎さん(精神障害者地域生活支援とうきょう会議)

鈴木卓郎さん(精神障害者地域生活支援とうきょう会議)
 私は日本では「精神障害」といわれる障害をもっている方の支援をしている。グループホームという精神障害者の方たちが生活する居住施設で働いている。
 日本は先進国の中では突出した数の精神科病院と病床数を持っている。精神科の医療には、精神保健福祉法で規定された入院形態として、本人の同意がなくとも入院させることのできる制度がある。措置入院は、自傷他害のおそれがある場合に精神保健指定医の診断に基づいて都道府県知事が決定を下す。また、医療保護入院は、精神保健指定医の診断に家族などの保護者が同意をすれば、入院させることができる制度である。治療上必要と判断される場合に適用される目的の制度ではあるが、本人意思不在で入院させることができるという意味で、日本は精神科病院への「強制収容」システムを持った国だということができる。
 そして、この入院医療が長引くことによって、日本の精神科病院には20年、30年、長い方だと50年くらい、病院から一度も地域に退院することなく、ずっと入院しっぱなしで生活している方がたくさんいる。東京でも青梅や八王子には民間の精神科単科病院がたくさんある。中には、いまだに窓に鉄格子が入っていたり、病室がベッドではなく畳の上に布団を敷いて寝るようなところもある。
 グループホームは、長期にわたって精神科への入院を余儀なくされてきた方たちが、退院して地域での当たり前の暮らしをスタートするための場所として、一般のアパートを住まいの場として借り上げ、国や東京都からの補助金によって運営している。ただし、いつまでもグループホームで住んでいられるわけではなく、都内ではほとんどのグループホームが概ね3年くらいの間に普通のアパートに移って行くことを支援しているという現状がある。そのとき、精神障害者の方たちも、新たな住まいを見つける上で様々な困難に直面する。
 一つは、長期に渡って入院されていると、家族や親類の方との関係性が非常に希薄になっている方が多く、場合によってはまったく身寄りがいないということもある。したがって、アパートを借りる際の保証人が見つからないという方が多くいらっしゃる。
 その上に、精神障害をもっていること自体がネックになる。不動産屋に生活保護を受けていることを話して部屋を紹介してもらおうとすると、時にはなぜ働けないのかと聞かれることがある。そのとき、精神科に通院していると正直に話せば、大家さんからは断られてしまうことがよくある。「精神障害者に部屋を貸したことがないから」という理由をいわれることがあるが、言外に何かトラブルを起こすのではないかといった偏見を感じざるを得ない。住まいを確保するという当然の権利が、このような社会的偏見と差別によって脅かされている。
 障害を持っている方に限ったことではないが、部屋を借りるのに連帯保証人が必要という制度そのものが普遍的な住まいの権利を侵害するものではないかと思う。親族や友人などが当たり前にいる人たちにとってはあまり意識しないことでも、そこからすこしでも外れてしまうと、あっという間に部屋を借りることすら難しくなるというこの現実が問題ではないか。障害者の方や、貧困に直面している方は、大多数が当たり前だと思っていることからすこし外れてしまっただけで、生存権が脅かされる。そのような状況をいつまでものそのままにしておいていいのだろうか。基本的な問題として、まずは連帯保証人を必要とする賃貸契約の仕組みを改める必要がある。
 障害者であるが故の住まいにかかわる差別をなくしたい。それから、保証人なんていなくても部屋を貸せ、と声を大にしてみなさんと考えていきたい。
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