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「東北関東大震災」の住宅・居住支援についての緊急要請書

※お詫びと訂正:下記記事で「国土交通大臣 大幡 章宏 殿」とありますのは、「国土交通大臣 大畠 章宏 殿」の誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。

内閣総理大臣 菅  直人 殿
国土交通大臣 大幡 章宏 殿
                                          
2011年3月25日
                                               
日本住宅会議 理事長 塩崎賢明
住まいの貧困に取り組むネットワーク
世話人 稲葉 剛
国民の住まいを守る全国連絡会
代表幹事 坂庭国晴

「東北関東大震災」の住宅・居住支援についての緊急要請書

 「東北地方太平洋沖地震」による未曾有の災害に対し、貴職の日夜を分かたぬ取り組みに敬意を表します。しかし、現状では一命を取り留めた被災者の生命が脅かされる事態が続いています。避難所の緊急的な改善実施とともに、住宅の確保と居住の安定が何にも増して重要であることは論をまちません。被災者の救済と当面する住宅・居住支援について、貴職に対し緊急に以下の要請を行いますので、速やかに検討し、早急の対応と回答を示していただくよう願い申し上げます。 



1.仮設住宅の建設と居住施策について

(1) 応急仮設住宅の建設地とコミュニティの継続について
 災害救助法による応急仮設住宅の建設がすでに開始されているが、その建設地は、できる限り従前居住地に近い安全な場所とすると共に、集落ごとなど従前の人間関係とコミュニティが保持され、復興が継続的に行われるよう十分配慮した建設と供給を行うこと。
また、従前居住地近くに応急仮設住宅を建設できない場合でも、必ず集落・コミュニティ単位でまとまって入居できる仮設住宅団地を建設、供給すること。そして、被災地の地域の実情に合わせた柔軟な仮設住宅の建設にも十分配慮すること。
(2) 甚大かつ広範な被災に対応した仮住居の提供について
 津波や原発事故による甚大かつ広範な被災では、従前居住地から離れた避難生活の長期化が懸念される。避難所に代わる避難住宅(仮設住宅入居以前)の用意も必要である。そうした場合でも居住の安定を図り、復興に向けての協議が十分にできるように、必ず集落・コミュニティ単位でまとまった居住などの配慮を徹底すべきである。
(3) 「ケア付き仮設住宅」の建設・供給の重視と居住条件について
 仮設住宅の建設にあたっては、多くの高齢者、障がい者、病弱者に対する「ケア付き仮設住宅」の供給を何よりも重視して行うこと。また仮設住宅地(団地)には、医療機関の設置をはじめとして生活利便施設が配置されるよう各方面に要請し、実現を図ること。そして、全財産を失った被災者に対しては、応急仮設住宅の光熱水道料の減免などの措置を講ずること。
(4) 自力仮設住宅建設への支援について
 阪神大震災では約5千戸の自力仮設住宅が建設され、その後の復興の力になったように、今回の大震災でも、被災者が従前居住地に自力で仮設住宅を建設し、恒久的な住宅確保へつなげていくことがあり得る。これは、被災者にとっては一番わかりやすい復興で、地域に人が戻り、町の活性化にもつながり、また応急仮設住宅などの必要戸数を低減させる効果もある。こうした自力での仮設住宅建設への補助、支援を、被災者生活再建支援法による支援金支給の拡大・増額を含め、検討し、早急に実施すること。

2.民間賃貸住宅等の活用と継続居住について

 すでに貴職は「民間賃貸住宅の空家を応急仮設住宅として借上げることについて、厚生労働省と協議し、各県に対し検討を依頼」されているが、この民間賃貸住宅の空き家の活用は重要な取り組みであり、入居可能な空家を被災者に直ちに提供すること。その際、応急仮設住宅として借り上げることと共に、
継続居住のできる住宅として、応急仮設住宅建設の予算も投入し、必要なリフォームや耐震改修などを行い、安心・安全な賃貸住宅としていくこと。また、民間賃貸住宅の継続居住を可能とする家賃補助制度の導入を検討し、実施すること。なお、持家住宅の空き家の活用についての検討も行い、応急住宅としての使用を可能なところから進めること。
 被災3県の空き家の状況は、「賃貸用住宅の空き家」が約19万戸、持ち家を含む「その他の空き家」が約11万戸あるとされている(平成20年住宅・土地統計調査)。

3.公営住宅等の活用と災害公営住宅の建設・供給について
 
(1) 公営住宅等の空き家への入居について
 公営住宅等の活用について、貴職は「全国の公営住宅等の空き室状況の把握を継続的に実施」し、「被災者に対し提供可能な空き室(公営住宅)」を東北地方で約900戸、全国で約17,000戸とされているが(3月23日現在)、数十万世帯の被災者の住宅確保という課題に照らせば、極めて不十分なことは一目瞭然である。もともと公営住宅ストックが少ないことが今回の大震災で大きな問題を招いているのであって、建替え予定となっている住宅の空家数を含めて調査・公表し、その活用を図ること。
(2) 災害公営住宅の建設・供給について
 不幸にして家族、世帯の一部を失った被災者が多く、従前持家だった世帯に対しても災害公営住宅の建設・供給は重要な復興施策となる。この公営住宅は仮設住宅と同様、できる限り従前居住地に近い安全な場所で、地域コミュニティを保持しながら暮らせるように建設、入居者選定を行うこと。また、住宅への入居後、被災者の孤立化を招かないように、これまでの災害復興公営住宅の経験を活かし、大規模、高層住宅ではなく、小規模、低層の住棟を重視するなど、設計・計画に細心の注意をはらうこと。
(3) 借り上げ公営住宅について
 災害公営住宅の建設・供給は、一定の年数を要することから、民間住宅等を借り上げて公営住宅としていくことも積極的に進めるべきである。その際、阪神大震災の復興借り上げ住宅で生じているような、借り上げ期間満了時に入居者を追い出すことがないよう、通常の公営住宅と同等の扱いを行うこと。
4.UR(都市再生機構)賃貸住宅の活用と対応施策について

 UR賃貸住宅について、貴職は「都市再生機構を通じ、空き室状況の把握を実施」とし、提供可能の空き室を「東北地方15戸、全国2,500戸」とされている(東京都100戸、神奈川県70戸、千葉県250戸、埼玉県230戸など。3月23日現在)。
 しかし、実際には、この数値を大幅に上回る空き室が存在する。上記の数値には、既存賃貸住宅を10年間で8万戸削減するという「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」(2007年12月策定)の対象となり、現在空き家となっている住宅が含まれていないからである。
 例えば、東北地方の15戸は仙台市内の住宅であるが、ここでは、別紙のように、約4千戸ある賃貸住宅を半減する計画が進行し、多数の空き室があるにもかかわらず、提供可能としていない。また、首都圏における実態も別紙の通り同様である。
 国民の共有財産であるUR賃貸住宅を被災者に提供するためには、上記「再生・再編方針」による住宅削減の実施を直ちに取止めるべきである。特に仙台市のUR住宅の削減方針は即刻撤回すること。そして実施が進行している東京日野市の高幡台73号棟、東京足立区の花畑団地、神奈川県藤沢市の辻堂団地の「再編」は取止め、空き家(計約2千戸)をまとまって居住できるメリットを活かして避難住宅として被災者に提供すること。歴史的な大災害で被災者が苦しんでいるとき、「空き室隠し」ともいうべきことが行われれば、後日批判を招くことは火を見るより明らかであり、熟慮・英断すべきである。

5.住宅復興支援の強化と建設資材等の確保について
 
(1) 自宅の再建に対する支援強化について
 被災者の多くの人は元の土地に自宅を再建することを望んでいる。この自力再建に対する支援を「被災者生活再建支援法」(全壊世帯に300万円の支援金など)の制度を改善し、支給対象の拡大・支援金の増額などを行い、援助を強化すること。
(2) ローコスト住宅の建設と地域経済の活性化について
 自宅再建の支援強化とともに、中越沖地震の際に実施された「ローコストの住宅建設」を促進することも重要である。柏崎市内では平米当たり10万円での住宅供給が行われ、被災者の住宅確保として積極的な役割を果たした。こうした事例も検討し、多数の地元業者がローコスト住宅供給に取り組むことを行政が支援し、地域経済の活性化にもつなげるべきである。
(3) 中小建設業者の積極活用と建設資材の確保について
 ローコスト住宅の建設・供給をはじめ、民間賃貸住宅のリフォーム、耐震改修、公的賃貸住宅の空き家の修繕、改修、持ち家住宅の補修や建設など、住宅の確保と提供については、地元業者をはじめとした中小建設業者を積極的に活用すること。
 また、住宅・建設関連資材の不足、出荷停止などが頻発し、住宅確保と提供に重大な支障が生じている。「住宅関連資材不足に対応するため、3省庁による対策会議を設置(事務局・住宅局)し、対応を協議」されているが、事態を一刻も早く解消するため、よりいっそうの努力と全面的な対策を講ずること。

以上
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