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【10.19住まい分科会】稲葉剛さん(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)

稲葉剛さん(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)
 10月1日に、大阪の個室ビデオ店で放火事件が起き、16名の方が亡くなられた。いまだにお一人の方の身元が分かっていないそうだ(10月19日当時)。「個室ビデオ店難民」なんていう言葉も新聞の見出しに出たけれども、16名のうちのかなりの方々が、そういった場所で生活せざるをえなかった人たちだ。この事件を受け、10月3日には石原都知事が記者会見で、「山谷では200円、300円で泊まれる宿がある」という発言を行った。どういう文脈でなされたかというと、大阪の事件を格差の問題に結び付けないでくれといいうことを彼は言いたかった。まさにミスター自己責任論だ。ネットカフェなどに泊まるのは「ファッション」で暮らしているのであり、安い宿はいくらでもあるのだから、そちらに行けばいいではないかという趣旨の発言だ。彼の山谷に対する認識は、『太陽の季節』から変わってないようだ。200円、300円で泊まれる宿というのは明らかな事実誤認で、私たちの抗議もあって撤回されたが、「ファッション」については撤回しなかった。
 こうしたネットカフェ難民、個室ビデオ店、スマイルサービス、野宿を余儀なくされている仲間といった問題は、貧困ゆえに居住権が侵害されやすい「ハウジングプア」(住まいの貧困)という問題である。これらを個々バラバラの問題として捉えるのではなく、ひと連なりの問題であるということを訴えていく必要がある。
 ワーキングプアの問題とハウジングプアの問題は90年代以降、パラレルで進行してきた。ワーキングプアの問題で言えば、1999年に派遣業法の業種が拡大され、住まいの問題では2000年に定期借家契約が導入された。政府の規制緩和によりビジネスチャンスがあるということで、貧困ビジネスが入ってくるという状況が生まれた。それが労働の場合では、グッドウィルに象徴される派遣会社であり、住まいの問題で言えば、スマイルサービスなどの悪質業者である。
 また、住まいの問題としては、2002、3年ころから広がってきた家賃保証会社の問題がある。ある意味では、お金を払えば保証をやってくれるということで入居しやすくなったという点もなきにしもあらずだが、一方で退去を迫られ、居住権が侵害されるケースが非常に増えているのではないか。通常の賃貸借契約は借地借家法で守られているので、1、2ヶ月の家賃滞納で追い出されることがあってはならない。しかし、保証会社が入っていることで、保証会社が居住者に代わって家賃の代位弁済を行い、その上で居住者に対して取り立てや追い出しをしている。
 保証会社の中には、「フォーシーズ」という会社が悪質で有名だが、HPを見ると「独自の債権回収ノウハウ」を持っていると謳っている。つまりは取り立て屋だ。こういった会社が大家に代わって取り立てを行い、たとえば、1、2ヶ月滞納しただけで延滞金や保証会社の人間がアパートへ出向いたことの出張料を徴収している。大家に代わって居住者を追い出している。保証会社が広がったことによって、ホームレス化への圧力が強まったと言えるのではないか。
 住まいと労働は生活の両輪であり、ぜひこれから住まいの貧困という問題をもっと訴えていって、次の機会には労働分科会に負けないくらい、住まい分科会を盛り上げていきたい。
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