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10・26院内集会「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を!」基調報告資料

10月26日(水)、住まいの貧困に取り組むネットワークなど3団体の主催で、10・26院内集会「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を!」が参議院議員会館101会議室で開催されました。

急な呼びかけにもかかわらず、約60人が参加し、民進党、日本共産党、社民党、自由党の各国会議員からのアピールもありました。
この院内集会の基調報告の資料を以下にアップしますので、ご参考にしてください。

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10・26院内集会「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を!」基調報告

坂庭国晴(国民の住まいを守る全国連絡会・代表幹事)

〔開催趣旨〕 

政府の「社会資本整備審議会・住宅宅地分科会」は今年4月に「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」を設置し、7月には「中間とりまとめ」を発表しました。

新たな住宅セーフティネット検討小委員会・中間とりまとめ(PDF)

国土交通省はこれを受け、8月末の来年度概算要求で「子育て世帯や高齢者世帯などの住宅確保要配慮者の増加に対応するため、民間賃貸住宅や空き家を活用した新たな住宅セーフティネット制度を創設し、住宅確保要配慮者向けの住宅(あんしん入居住宅〈仮称〉)の改修や入居者負担の軽減等への支援を行なう」としています。

年内に小委員会の最終とりまとめ、来年国会に向け予算案とともに関連法改正案が用意される予定です。この「新たな制度創設」などに対し、住宅困窮各層の要求に基づく、実効性のある住宅セーフティネットを求めることが重要となっています。

各党国会議員の方々と共に、「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を」議論し、実現をめざしていきたいと思います。

1.「新たな住宅セーフティネット制度」の基本的な方向性 (中間とりまとめ)

① 新たな住宅セーフティネット制度は、公営住宅を補完するものとして、公営住宅の入居対象者も含め、多様な住宅確保要配慮者を対象とすることが考えられる。

② 高齢者等の住宅確保要配慮者が円滑に入居でき、かつ、安全な民間賃貸住宅について、適切に情報提供を行うことが考えられる。

③ 子育て世帯等の住宅確保要配慮者が比較的広い住宅に居住できるようにするため、現在の住宅市場において十分活用されていない空き家・空き室を有効活用することが考えられる。

④ 地域の多様な住宅事情等を踏まえ、地方公共団体の住宅政策に応じた柔軟な施策展開が可能な制度とする。

(以上の基本的な方向性は積極的な意義を持っている)

【施策の方向性と「新たなセーフティネット住宅」】
①セーフティネット住宅の安全性の確保、②セーフティネット住宅への円滑な入居の確保、③安心してセーフティネット住宅に居住できる仕組み、④空き家・空き室の活用、⑤セーフティネット住宅の情報提供等 

2.「特に配慮が必要な住宅確保要配慮者世帯への対応」に関して

前記の「新たなセーフティネット住宅」の⑥は次のようになっている。

・家賃の負担が困難な世帯のため、比較的低い家賃での提供が期待できる空き家、空き室などの活用を促すとともに、改修等の支援を受ける場合には、不当に高い家賃とならないよう留意すること。

・地域の住宅政策において特に配慮が必要な住宅確保要配慮者が入居するセーフティネット住宅については、財政状況にも配慮しつつ、低廉な家賃等とするための持続可能な支援を行なうことや、入居者の選定等に公的な機関が関与すること。

○特に配慮が必要な、○比較的低い家賃での提供が期待できる、○不当に高い家賃とならないよう←案の段階では「改修等の支援を受ける要件として家賃の上限を設定すること」○財政状況にも配慮、持続可能な支援、○入居者の選定に公的な機関が関与

3.「新たなセーフティネット住宅」の要件、方向性

1.入居対象:国が基本的な入居対象世帯を定める(法定化)(※1)
2.住宅の基準:少なくとも耐震性等最低限の居住(※2)
3.住宅の登録:都道府県又は市町村に登録する仕組み。(※3)
4.空き家、空き室の種類:比較的低い家賃で提供できる空き家・空き室(※4)
5.改修工事等への補助:耐震性等を向上するための改修工事を支援する(※5)
6.居住支援を行う団体:居住支援居議会や社会福祉協議会、NPO等(※6)
7.家賃債務保証:一定の能力を備えた事業者、支援協議会関与(※7)
8.住宅扶助の代理納付:生活保護受給者の場合、代理納付の活用を促進
(出所:小委員会の「中間とりまとめ」と国交省からの聞き取りによる)

(※1) 地方公共団体が地域の実情に応じて入居対象者を変更できるようにする。国の法定化は「住宅セーフティネット法」の改定などが検討されている。また、「入居者の選定等に公的な機関が関与すること」とし、地方公共団体の関与(実質は居住支援協議会など)が盛り込まれている。

(※2) 「最低限の居住環境」とは、耐震性の他に「最低居住面積水準」と水回りなどの「設備面」が考えられている。

(※3) 登録等の事務は、事務負担の軽減から、地方公共団体が「指定する法人が実施することも可能」とし、指定する法人とは、地方住宅供給公社や「建築センター」などが検討されている。

(※4) 前提は民間賃貸住宅の空き家の活用であるが、「現在の住宅市場において十分活用されていない空き家・空き室も有効活用」とし、比較的広い戸建持ち家なども考えられている。

(※5) 「そのままでは住宅市場に提供できないような空き家・空き室については、耐震性やバリアフリー等を向上するための改修工事について、経済合理性を考慮しつつ、支援を行うこと」、「改修等の支援を受ける場合には、不当に高い家賃とならないよう留意すること」としている。

(※6) 「居住支援協議会が、見守り等の居住支援サービスの紹介や具体的な支援につなげていく仕組みとする」、また「都道府県や市町村が居住支援を行う団体を指定することにより」とし、この指定団体は各地の社会福祉協議会や居住支援のNPOなどが考えられている。

(※7) 「家賃債務保証について、一定の能力等を備えた適正な事業者が提供するものの活用」、「居住支援協議会の関与等によりできるだけ家賃債務保証を利用できるようにすること」としている。

4.「実効性のある住宅セーフティネット制度」とするための課題と留意点

(1)「公営住宅の入居対象世帯も含め、多様な住宅確保要配慮者を対象とする」制度とする一方で、「特に配慮が必要な・・・世帯への対応」としている問題がある。基本的な方向性で示している「公営住宅を補完する」制度としていくことが求められる。

(2)上記に関係し、「高齢者世帯や子育て世帯のみならず、障害者、外国人、低所得の若者単身世帯を含む低額所得者等の住宅確保要配慮者についても、民間賃貸住宅に入居しようとする場合には、入居拒否や家賃負担等の問題が存在する」としているが、「低所得の若者単身世帯」(中間とりまとめ案から加筆された)に対する具体的施策が必要である。

(3)前項での「家賃負担等の問題が存在する」に関して、「低廉な家賃等とするための持続可能な支援を行なうこと」などが示されている。概算要求では「国・地方公共団体による家賃低廉化補助」(国費は公的賃貸住宅家賃対策補助)が掲げられている。「新たな住宅セーフティネット制度創設」の主要な柱として、「家賃補助制度」を実現していく必要がある。

(4)「空き家・空き室の活用」では、「地方公共団体の要請等により、空き家・空き室をセーフティネット住宅として積極的に活用できるようにする仕組みとする」としている。要請を受ける家主・賃貸住宅経営者などの民間事業者の対応や体制の問題、要請する地方公共団体の対応や体制の整備も大きな課題となっている。これらの課題の解決が求められる。

(5)「居住支援の強化」では、「居住支援協議会が国や地方公共団体と協力し、セーフティネット住宅や家賃保証に係る情報提供を行う・・・」などが提起されている。実際にこの事業や支援を担う「市町村単位の居住支援協議会」は少数(14区市町)にとどまっている。居住支援協議会の設立や実行のためには、地域で居住支援を行なうNPOや借地借家人組合等の参加と活動が必要である。また、「家賃債務保証について、・・・適正な事業者が提供するものの活用」としているが、地方公共団体、居住支援協議会が担うようにすべきである。

以上

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