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住宅セーフティネット法改正案について各党に要請書を提出しました!

住まいの貧困に取り組むネットワークなど4団体は、2月3日に閣議決定された住宅セーフティネット法の改正案について、「低額所得者の負担軽減のための家賃低廉化が条文に明記されていない」(予算措置にとどまっている)等、不充分な点が多いと考え、2月24日、各政党に下記の要請書を提出しました。

各政党に対して、要請書の内容を検討し、私たちとの意見交換の場を持つことを求めています。

3月21日(火)には、下記のとおり、院内集会も開催します(詳細は後日)。

集会名: 「住宅セーフティネット法改正案を考える」
日時:2017年3月21日(火)12時30分~15時30分
場所:参議院議員会館 地下1階 B107会議室    
内容:国会議員各氏のあいさつ、基調報告、講演、当事者・各界からの報告・発言など


ぜひご注目をお願いいたします。

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2017年2月24日
    
国民の住まいを守る全国連絡会
住まいの貧困に取り組むネットワーク
全国追い出し屋対策会議
生活弱者の住み続ける権利対策会議

 「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(住宅セーフティネット法)改正についての要請書 

国政での常日頃のご尽力、ご活動に敬意を表します。さて、開催中の通常国会で標記法律の一部を改正する法律案が審議されます。私たち住宅関係諸団体は、この法改正と新たな住宅セーフティネット制度が住宅困窮各層の「住生活の安定の確保及び向上の促進」(住生活基本法第1条)に真につながるよう、国会での十分な審議が行われ、下記要請内容が実現するよう、ここに要請書を提出するものです。何卒宜しくお願い申し上げます。  
 
           記

1.一部改正の前提となる重要事項について

今回の一部改正の前提となる重要な事項を次のように考えます。

(1) 「新たな住宅セーフティネット制度」のあり方について

政府の「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」は標記制度の「基本的な方向性」について、「新たな住宅セーフティネット制度は、公営住宅を補完するものとして、公営住宅の入居対象者も含め、多様な住宅確保要配慮者を対象とする」(2017年2月の最終とりまとめ)、としました。私たちは少なくともこの基本的方向性が貫かれ、全面的な実施が行われる「新たな制度」にする必要があると考えます。そのためには「多様な住宅確保要配慮者」の実情と住要求が明確にされ、十分反映された制度となるよう、衆参両院で時間をかけた充実した議論、審議が行われることを要請します。

(2) 本来の「住宅セーフティネット」である公営住宅、公的賃貸住宅の充実、強化について

前記のように新たな制度は「公営住宅を補完するもの」としていますが、あくまでも補完であり、本来の住宅セーフティネットの充実、強化が求められます。住宅セーフティネット法第5条は、「国及び地方公共団体は、所得の状況、心身の状況、世帯構成その他の住宅確保要配慮者の住宅の確保について配慮を必要とする事情を勘案し、既存の公共賃貸住宅の有効活用を図りつつ、公的賃貸住宅の適切な供給の促進に関し必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」としています。公営住宅をはじめとする公的賃貸住宅(UR賃貸住宅、公社賃貸住宅など)の供給施策の充実、強化を図るべきです。

2.一部改正についての意見と具体的要請事項について

「住宅セーフティネット法一部改正」についての私たちの意見と具体的要請事項は下記の通りです。これらの内容について国会審議等を通じて実現することを求めるものです。

(1)第一条(目的)に公営住宅の積極的供給、居住支援の推進を明記すべきです。

改正の第一条の冒頭の「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関し、」を「住宅確保要配慮者に対する公営住宅の積極的供給をはじめとした賃貸住宅の供給の促進」とし、合わせて、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する施策を」については、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進及び居住支援の推進に関する施策を」とすることを求めます。前段は前項(2)に対応したものであり、後段は、今回の改正で、第5章に居住支援法人、第6章に居住支援協議会が規定されていることからも必須と言えます。

(2)第二条(定義)に「生活保護受給者」、「ホームレス」、「若年低所得世帯」を明記すべきです。

第二条一項の「住宅確保要配慮者とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。」の各号に、標記を明記すべきです。生活保護受給者、ホームレスの人びとは、住宅確保要配慮者の中でも特に配慮を必要とする者です。2007年策定の国交大臣の基本方針でも具体的な者として明記されています。また単身者をはじめとした若年低所得世帯も特に配慮を要する者です。これらの世帯は公営住宅の裁量階層の収入基準を適用することが必要です。

(3)家賃低廉化(低額所得者の入居負担軽減のための支援)について条文で明記すべきです。

今回の新たな制度では「低額所得者の入居負担軽減のための支援措置」としての家賃低廉化(国上限2万円/月・戸、地方公共団体同)が実施予定です。この重要な施策についての条文がありません。制度の根幹として条文に明記し、継続した支援措置とすべきです。

(4)低額所得者の入居の優先を条文で整理、明記すべきです。

 「公営住宅を補完する」主旨からも、第4章の「円滑入居賃貸住宅事業」での「入居を受け入れることとする住宅確保要配慮者の範囲を定める」(第九条)等に関しては、第二条一項一号の「その収入が国土交通省令で定める金額を超えない者」(低額所得者)が優先して入居できるよう、条文の整理を行い、明記すべきです。

(5)「公的賃貸住宅の供給の促進」を義務化する改正を求めます。

前記1(2)の「公的賃貸住宅の供給の促進」(現行法第五条)の「国及び地方公共団体は、・・・努めなければならない。」を「国及び地方公共団体は、・・・施策を講ずる。」とすべきです。なお、この条項は現行の第五条から今回の改正で第五三条に大きく移され、後退した感があります。改正での第七章を第四章とすることを合わせて求めます。

3.法案審議に関係しての重要事項について

今回の法案審議に関係し、下記の事項を取り上げて頂くことを要請します。

(1) 家賃の水準と適正家賃負担について

今回の改正案の第十条一項四号では、「住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅の家賃その他賃貸の条件が、国土交通省令で定める基準に従い適正に定められるものであること。」としています。この住宅の家賃の水準について明らかにすると共に、国民が居住する賃貸住宅の適正家賃とその負担率について審議を通じて明確にすることを求めます。

(2) 「登録住宅」の登録戸数の目標とその根拠について

一部改正の国交省説明資料では、登録住宅の登録戸数の目標(KPI)を「17.5万戸(年間5万戸相当)2020年度末」としています。この目標の根拠とともに、「公営住宅を補完するものとして、公営住宅の入居対象者」が入居できる「登録住宅」の目標戸数を明らかにすべきです。この戸数が明確にならなければ、公営住宅を補完するものとは言えないと考えます。

(3) 家賃債務保証のあり方と「追い出し屋規制法」の制定について

新たな制度は、「要配慮者専用住宅に低額所得者が入居する場合」、家賃債務保証料の低廉化に対する補助を行う(国費上限3万円/戸)、となっています。この補助を行う場合、入居者への連帯保証人は必要としないことを明確にすべきです。
本来、新たな制度は家賃債務保証の利用に頼らない制度設計が必要であり、国と自治体、居住支援協議会などによる公的保証制度の実現が求められます。そして、保証料の補助を行うことと関連し、「追い出し屋規制法」(2010年国会提出、参議院で全会一致可決、その後継続審議となったが廃案)の制定を行って下さい。なお、家賃債務保証等に関連し、公営住宅を含む賃貸住宅の連帯保証の問題について検討し、連帯保証人を必要としない法的、社会的仕組みの実現をめざすべきです。

(4) 賃貸住宅管理業者およびシェアハウス運営業者に対する法的規制について

今回の新たな制度では、住宅の管理について賃貸住宅管理業者が関与することが考えられ、また、主に若者単身用のシェアハウスも対象住宅となり、管理・運営業者が関与することになります。これらの業者には任意の登録制などがありますが、入居者、賃借人の必要な権利等を担保し、保障するためには、両業者に対する業法が必要です。現状では、家賃の不当な取り立て行為、追い出し行為、正当事由のない解約申し入れ等々、さまざまな被害が少なくありません。また、違法なシェアハウスに該当する「違法貸しルーム」は国交省調査で1,400件以上(16年10月)にのぼり、是正している物件は1割強に過ぎません。このような現状からも両業者に対する業法(登録の義務付け、不当行為の禁止等の業務規制)の制定などの法的規制が求められます。

(5) 地方公共団体の住宅部局、福祉部局の抜本的な強化・拡充と連携について

一部改正案に示されているように、「都道府県及び市町村賃貸住宅供給促進計画」の作成とその実施、「住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅事業」等々、地方公共団体の関与と実務はきわめて重要な位置を占めています。これらの実施と推進のためには、都道府県、市区町村の担当部局の体制強化、予算措置の拡大などが必要です。地方公共団体の住宅部局と福祉部局の抜本的強化、それに基づく連携の強化も必要です。国はこのための支援と補助を十分行うべきです。

(6) 民間賃貸住宅の大量空き家問題と政策の策定について

「我が国の民間賃貸住宅は、住宅ストック全体の約3割(1,343万戸)を占めており、その市場整備は、国民の住生活の安定の確保及び向上の促進のためにも極めて重要」(2010年1月・住宅宅地分科会・民間賃貸住宅部会「最終とりまとめ」)としています。一方で、「賃貸用の住宅」の空き家は430万戸にものぼり、供給過剰の状況が一貫して続いています。
今回の法改正と制度は民間賃貸住宅を主体としたもので、この国会審議を機会に、なぜこうした大量の空き家が生まれるのかを検証し、その是正策を含む民間賃貸住宅政策の策定と確立を求めます。

(7) 国土交通大臣の基本方針と国土交通省令について

現行法での唯一の義務化は、第4条の「国土交通大臣は、・・・基本的な方針を定めなければならない」としている規定です。この「基本方針」は2007年に策定されて以来、変更されないまま、また十分な検証のないまま、今日に至っています。今回の国会審議にあたっては、この国交大臣の基本方針についても論議され、新たな基本方針を国交大臣は国会に提出すべきです。また、今回の一部改正での各条項の具体的な規定は「国土交通省令で定める」としています。改正案の審議では必要な省令の内容が明らかにされ、具体的な議論が行われることが求められます。

以 上




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